「また並べりゃいいだろ」釣具店で謝っても繰り返される嫌がらせ。だが、店長が防犯カメラを指差すと態度が一変
謝っても繰り返される嫌がらせ
大学生のころ、僕は釣具店でアルバイトをしていました。
昼間は倉庫から運んできた商品を棚に補充し、箱の向きをそろえて並べるのが主な仕事でした。
ある日の昼、棚の下段に箱を並べていると、一人の男性客が近づいてきました。僕のすぐ横で足を止めると、突然強い口調で言われました。
「おい、邪魔なんだよ。どけよ」
見ると、補充用の段ボールが通路に置かれたままでした。
「すみません!すぐどけます」
僕は慌てて段ボールを持ち、通路の端へ移動しました。通りづらかったのは確かなので、そのときは自分が悪かったと思いました。
ところが、それから男性はたびたび店に来るようになりました。
そして僕が作業している棚を見つけると、決まって声をかけてくるのです。
「またここにいるのかよ。邪魔だって」
「申し訳ありません。すぐ空けます」
最初は場所を譲れば済んでいました。しかし、そのうち男性は、ほかの売り場の商品を僕が整えた棚に押し込んだり、並べた箱を手で払うように崩したりするようになったのです。
「おい、何見てんだよ。また並べりゃいいだろ。店員なんだから」
「……すみません」
悔しくても、言い返せませんでした。
せっかく整えた箱が目の前で崩されるたび、黙って拾い集めるしかありません。
しばらく一人で抱え込んでいましたが、とうとう我慢できなくなり、閉店後に店長へ相談しました。
店長は最後まで話を聞くと、少し考えてから答えました。
「そうだったのか。話してくれてありがとう。あとは任せて」
その言葉を聞いて、ようやく少し気持ちが軽くなりました。
防犯カメラを示した店長の一言
数日後の昼、例の男性がまた店にやってきました。
僕が並べた棚の前で足を止めると、にやりと笑いながら箱に手を伸ばします。
また始まるのか。そう思って身構えた、そのときでした。
「お客様、少しよろしいですか」
いつの間にか男性の隣に店長が立っていました。
店長は天井の防犯カメラを手で示すと、落ち着いた声で言いました。
「毎回拝見しています」
男性の動きがぴたりと止まりました。
「……は?どういうこと?」
「これまで商品を崩されていた様子を、映像で確認しました。そういうことは、もうやめていただけませんか」
「いや、俺は別に…」
「お買い物はしていただいて構いません。ただ、同じことが続くようでしたら、ご来店をお断りすることになります」
店長は声を荒らげることなく、淡々と伝えました。
通路の向こうにいたお客様たちもこちらを見ていましたが、男性はもう何も言い返しません。
さっきまでの笑みは消え、手に取った箱をぎこちなく棚へ戻しました。
そして誰とも目を合わせず、うつむいたまま店を出ていったのです。
僕がその場に立ち尽くしていると、店長が肩を軽くたたきました。
「記録もちゃんと確認したからね。こういうことは、一人で抱え込まなくていいんだよ」
「……ありがとうございます。本当に助かりました」
それ以来、男性に棚を崩されることはなくなりました。
翌日も、僕が並べた箱はまっすぐ棚に並んだままでした。いつもと同じ補充作業なのに、その日はずいぶん安心して仕事ができたのを覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














