「10時の約束なのに、もう30分も来ない」駅中を探した私。1時間半後、柱へ戻って驚いたこと
柱の前で、腕時計ばかり見ていた朝
30年近く前、私がまだ10代の終わりだったころの話です。
今は40代ですが、当時、少なくとも私たちの周りでは携帯電話を持っている人はまだ珍しく、待ち合わせの場所と時間は前もって決めていました。
その日、友人とは大きな駅の構内にある太い柱の前で、午前10時に会う約束をしていました。
私は少し早めに着き、柱の片側に立って友人を待ちました。
ところが、10時を過ぎても姿が見えません。行き交う人の顔を何度見ても、友人は見つかりませんでした。
30分ほどたったころ、私は腕時計を見ながら思わずつぶやきました。
「10時の約束なのに、もう30分も来ない…」
寝坊でもしたのだろうと思い、駅構内の公衆電話から友人の家へ電話しました。出たのは友人のお父さんです。
「とっくに出たよ。もう着いてるんじゃないかな」
「えっ、でも見つからなくて…」
電話を切ると、今度は「出口を間違えたのかもしれない」と思いました。
探しに行くたび、またすれ違っていた
私は柱を離れ、近くの出口まで友人を探しに行きました。
しかし、そこにもいません。柱へ戻って少し待ち、また別の出口を見に行く。それを何度か繰り返しました。
「もう、どこに行ったのよ…」
そう思いながら探していましたが、あとになって考えれば、動き回っていたのは私も同じでした。
待ち合わせから1時間半ほどたったころ、さすがに疲れた私は、「もうここから動かないで待とう」と決めて柱へ戻りました。
そのとき、柱の向こう側から人影が現れました。
友人でした。
私たちは一瞬、言葉も出ないまま顔を見合わせました。
「え…どこにいたの?」
「それ、こっちのセリフだよ。ずっと待ってたんだけど」
話してみると、友人も10時より前に着き、私とは反対側で待っていたそうです。そして私が来ないと思い、別の出口を探しに行っては柱へ戻っていました。
つまり、どちらかが探しに出ているあいだにもう一人が戻るなど、タイミングがずれ続けていたのです。
「私、30分くらいしたところで『来ないなあ』って独り言まで言ってたよ」
「私も同じこと言ってた」
そこでようやくおかしくなり、2人で笑ってしまいました。
今なら着いた瞬間に連絡を取れますが、当時は待ち合わせ場所を少し勘違いしただけで、こんなことが起きました。
今でもその友人と会う約束をすると、ときどき笑いながら聞かれます。
「今日はちゃんと、同じ側で待つよね?」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














