「昨日より、濃い!」5歳の息子がスプーンを置いて腕組み。真剣な顔で語った味の違いに笑った
ひと口食べた息子が、突然スプーンを置いた
平日の夜、夫と5歳の息子と一緒に夕飯を食べていたときのことです。
その日のメニューはカレーライス。前の晩に大きな鍋で作ったカレーが残っていたので、温め直して食卓に出しました。
味つけを変えたわけでもなく、私にとってはいつもと同じカレーです。
「今日もカレーだ!やった!」
息子はうれしそうにスプーンを握り、さっそくひと口食べました。
ところが、いつもなら夢中になって食べる息子が、なぜか急に静かになったのです。
口をもぐもぐ動かしながら、何やら難しい顔をしています。そして、スプーンをそっと置くと、腕を組んで考え始めました。
「あれ?どうしたの?おいしくない?」
私が聞くと、息子は真剣な表情で答えました。
「ううん。でも、お母さん。今日のカレー、昨日と違うよ」
「えっ、そう?」
息子はうなずくと、少し得意そうに言いました。
「今日のカレー、昨日より大人の味がする」
その言い方があまりに真剣で、向かいに座っていた夫の口元がゆるみました。
私は思いがけず褒められたような気がして、ちょっとうれしくなりました。
「へえ、大人の味なんだ。どういうところが?」
そう聞くと、息子は天井を見上げて、しばらく考え込みました。
夫も私も、息子が何と言うのか気になって、黙って待っていました。
そして息子は、はっきりと言ったのです。
「昨日より、濃い!」
夫は思わず口を押さえて吹き出しました。私も笑いそうになりましたが、息子があまりに真剣なので、なんとかこらえました。
「ひと晩で大人になった」という息子の結論
「そっか、濃く感じたんだね。でもね、それ、昨日作ったカレーを温め直しただけなんだよ」
私がそう説明すると、息子は目を丸くしました。
「えっ、昨日のと同じなの?」
「うん、同じカレーだよ」
息子は自分のお皿をじっと見つめ、それから私の顔を見ました。
どうやら、昨日と同じカレーなのに味が違うということが、不思議で仕方ないようです。
しばらく考えたあと、息子は納得したようにうなずきました。
「じゃあ、ひと晩で大人になったカレーなんだ」
そのひと言に、夫はとうとうテーブルに手をついて笑い出しました。私もこらえきれず、涙が出るほど笑ってしまいました。
ところが、息子だけはきょとんとしています。
「えっ、なんで笑ってるの?」
私たちがなかなか笑いを止められずにいると、息子は少し首をかしげて言いました。
「そんなに面白い?カレーの話だよ」
そのあまりにまじめな言い方に、夫と私はまた笑ってしまいました。
すると息子も、つられたように笑い始めました。何がおかしいのか、最後までよく分かっていない様子でしたが、それでも楽しそうでした。
夕飯の片づけをしながら、鍋に残ったカレーを少し味見してみました。
確かに、ひと晩おいたぶん、味がなじんでコクが出たように感じます。
息子なりに昨日との違いを感じていたのかもしれません。
それ以来、次の日のカレーを食卓に出すと、夫が決まっておどけた声で言います。
「本日は、大人のカレーでございます」
すると息子は、なぜか少し得意そうに背筋を伸ばします。
ただの残り物だったはずのカレーが、わが家ではちょっと特別なメニューになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














