「あんたのゴミ袋だろ!」窓から見たと言い張り、出勤前の私に生ゴミを拾わせる男性。だが、袋の新聞紙で硬直
破れたゴミ袋
朝、ゴミ置き場の前で1階に住む男性が70代の女性と立ち話をしていました
私は古い2階建てのアパートで、1人で暮らす会社員です。
平日は朝早く家を出て、帰りはいつも夜遅くになります。
その朝、階段を下りると、ゴミ置き場の前で1階に住む男性が、70代の女性と立ち話をしていました。
男性は毎朝ゴミ置き場を見回り、決まりを守らない人を叱るのが日課です。
「大物が5匹も釣れてな」
女性が、少し分けてほしいわと笑うと、男性は首を横に振りました。
「誰にもやらん。全部、俺が食う」
破れた袋が見つかり、男性は私の袋だと決めつけました
会釈して通り過ぎようとしたとき、ゴミ置き場の隅に目を留めました。
袋が1つ引き出されて破れ、中身が地面に散らばっています。
夜のうちに、何かに荒らされたようでした。今日は、びんと缶の日です。
男性は袋に目をやると、すぐに私の方へ向き直りました。
「あんたのゴミ袋だろ!」
「昨夜は、出してません…」
男性は窓から見たと言いました
「窓から、この目で見たんだ!」
昨日の夜遅く、私が口もろくに縛らずに生ゴミの袋を出すのを、自分の部屋の窓から見たというのです。生ゴミの日は明日。
決まりの日より前に出すのは、このアパートでいちばん嫌われる違反でした。
「管理会社に、言うからな」
女性まで、困ったような目で私を見ています。
出勤前のゴミ拾い
言い返す手立てがなく、私はしゃがんでゴミを集め始めました
昨夜、私が部屋から出なかったことを知る人はいません。
何年も見回りを続けてきた男性と、帰りの遅い私。どちらの話が信じられるかは、考えるまでもありませんでした。
「片付けてから、仕事に行け」
「…分かりました」
電車の時間が迫っています。私はしゃがみ込み、散らばった紙くずを手で集め始めました。
男性は、腕を組んで私を見下ろしていました。
新聞紙の包みを開くと、魚の頭が5つと釣り糸が出てきました
最後に残ったのは、新聞紙の包みでした。
持ち上げると、ずしりと重く、ほどけかけた新聞紙が手の中で開きました。
私は包みを両手で持ったまま立ち上がり、2人に見えるよう前に差し出しました。
「魚の頭が5つと、釣り糸です」
大きな魚の頭が5つ、からまった釣り糸と一緒に並んでいました。
「大物、5匹でしたよね?」
私にやった魚だと言う男性に、本人の言葉を返しました
「あ、あんたにやった魚だ!」
「誰にもやらないと、言いましたよね?」
男性は、分けてと頼んだ女性にさえ、断ったばかりです。
私は包みを閉じて、脇に抱えました。窓から見たはずの私の袋は、男性の釣りの残りでした。
女性が、包みと男性の顔を見比べます。男性は口を開けたまま、言葉が出てきません。女性は黙って、一歩離れました。
私は包みを男性の足元に置き、片付けはお願いしますねと会釈して、駅へ向かいました。
角を曲がる前に振り返ると、男性が1人でしゃがみ込み、ゴミを拾い集めていました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














