「ルールにない以上、部屋で何時間吹こうが自由でしょ」夜遅くまでサックスを吹く隣人。総会のあとに届いた一通の書面
壁越しに響くサックスの音
夕飯の片づけをしていると、今日も隣の部屋からサックスの音が聞こえてきました。
低い音が壁越しに響き、食器棚のガラスまで震えるほどです。
隣では毎日、何時間も管楽器の練習が続いていました。
夜遅くまで聞こえる日もあり、私は落ち着いて休むことができません。
同じ階の住人も困っていて、管理会社から注意してもらったこともありましたが、演奏は続いていました。
その日、私はとうとう隣の部屋のチャイムを押しました。
しばらくして音が止み、50代くらいの男性が扉を開けました。
「すみません。夜遅くまで音が聞こえてきて、眠れないこともあるんです」
男性は少し不満そうな顔をしました。
「でも、吹いてるのは自分の部屋ですよ」
「それは分かるんですが…せめて時間を考えていただけませんか」
すると男性は、扉に手をかけながら言いました。
「ルールにない以上、部屋で何時間吹こうが自由でしょ」
それきり扉は閉まりました。その夜も、サックスの音は遅くまで続きました。
総会で決まった新しいルール
このままでは変わらないと思い、私は同じ階の住人たちに声をかけ、管理組合に楽器演奏の決まりを作ってほしいと申し入れました。
その後、日曜日の昼に開かれた管理組合の総会で、演奏時間についての使用細則案が議題に上がりました。
事前に配られた議案書には、室内での楽器演奏は近隣に配慮し、夕方以降は控えるという内容が書かれていました。
私が座った席の斜め後ろには、隣の男性もいました。
女性の理事長が内容を説明すると、男性が手を挙げました。
「今まで、決まりはなかったですよね。別に違反したわけじゃないでしょう」
理事長は落ち着いた声で答えました。
「ええ。ですから、これからの決まりを皆さんで話し合いたいんです」
採決の結果、使用細則案は賛成多数で可決されました。
男性は議案書を見つめ、何も言いません。
「今後は、この決まりに沿ってお願いします」
理事長の言葉にも、男性は黙ったままでした。
翌週、理事長から聞いた話
ところが、その翌週のある晩、隣からまた遅くまでサックスの音が聞こえてきました。
翌日の昼、エレベーターの前で理事長に会うと、こんな話をしてくれました。
「昨夜の演奏については、今朝、書面で注意をお伝えしました」
その書面にどんな反応があったのか、私には分かりません。
ただ、その晩から隣のサックスの音は聞こえなくなりました。
後日、廊下ですれ違った男性は、目を合わせずに自分の部屋へ入っていきました。
私は久しぶりに静かな夜を過ごしながら、ようやく安心できました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














