「ねえ、ママ。あれっていいの?」ホテルの夕食で娘が目撃した持ち込まれた飲み物。だが、現れた責任者が見せたのは
隣のテーブルに並び始めた缶のお酒
夫と子どもたちと旅行に出かけ、ホテルのレストランで夕食をとっていたときのことです。
飲み物は飲み放題か、一杯ずつ注文する方式でした。
子どもたちはオレンジジュースを頼み、私たちも食事を楽しんでいました。
しばらくすると、隣のテーブルに7人家族がやってきました。
そのうちの父親らしい男性が、足もとに置いた大きな袋から何かを取り出し始めたのです。
最初に出てきたのは紙パックのジュース。
ところが、続いて缶のお酒が次々と並び、大きなペットボトルまで出てきました。
男性はさっそく缶を開け、楽しそうに声を上げました。
「よし、乾杯だ!」
その様子を見た娘が、私の袖をそっと引っ張りました。
「ねえ、ママ。あれっていいの?私たちはジュースを頼んだのに」
「うーん……本当は、だめだと思うけどね」
私も戸惑いました。周囲のお客さんも気になったのか、ときどき隣のテーブルを見ています。
やがて、飲み物が並んでいることに気づいた店員さんが、男性に声をかけました。
「お客様、失礼いたします。こちらのお飲み物は、お持ちこみでしょうか?」
すると男性は、不満そうに顔をしかめました。
店員さんが説明しようとしても、話を聞こうとしません。
そして家族のほうを向き、こう言ったのです。
「せっかくの旅行なんだ、好きに飲めばいい」
店員さんは困った様子で頭を下げ、その場を離れました。
それでも男性は気にする様子もなく、また新しい缶を開けました。
娘は自分のジュースを見つめたまま、すっかり黙りこんでしまいました。
責任者が差し出した一枚の明細
それからしばらくして、責任者らしい男性が黒いバインダーを持って現れました。
隣のテーブルに近づくと、落ち着いた声で話しかけます。
「お客様、申し訳ありません。こちらでは、お飲み物はご注文いただく決まりなんです」
すると、缶を手にした男性が言い返しました。
「いいだろ、別に。店の酒を飲んでるわけじゃないんだから」
責任者は表情を変えずに答えました。
「お持ちこみの場合は、こちらの料金を頂戴することになります」
そう言ってバインダーを開き、持ち込み料の明細を見せたのです。
「……え?」
男性は明細に目を落としたまま、手を止めました。何か言いかけたものの、結局それ以上は言い返しませんでした。
近くの席からも視線が集まっていました。
それに気づいたのか、男性は顔を赤くすると、テーブルに並べていた缶やペットボトルを黙って袋に戻し始めました。
先ほどまで楽しそうにしていた家族も、すっかり静かになっています。
結局、一家はレストランの飲み物を注文することなく食事を終え、足早に出ていきました。
隣の席が静かになると、娘がようやく笑顔を見せました。
「ママ、もう一回乾杯しよう!」
「うん、そうしようか」
夫も笑ってグラスを持ち上げました。
さっきまで隣が気になって落ち着かなかった私も、ようやく食事を楽しむ気持ちに戻れました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














