「あなたの犬でしょ、出ていって」昼ごはんを荒らした犬を、私の犬だと決めつける女性。数分後、本人が退散
土曜日の芝生広場
芝生広場の昼ごはんを、走ってきた犬に荒らされました
10月の土曜の昼、公園の芝生広場にレジャーシートを広げ、手作りのサンドイッチとポットのコーヒーを並べて、本を開いたばかりでした。
ここはペットの立ち入りが禁止されている広場で、犬がいるはずはないのに。
突然、小さな茶色の犬が私のシートに駆けこんできました。シートを踏み荒らし、コーヒーのカップを倒し、サンドイッチをくわえて走り回ります。
「私のサンドイッチ!」
犬がサンドイッチを落としたところで、私はなんとか抱き上げました。
幸い、犬にけがはなさそうでしたが、せっかく用意した昼ごはんは台無しです。
ベンチの女性は、犬なんて連れてきてないと言いました
私は犬を抱いたまま、犬が走ってきた広場の端のベンチへ向かいました。
ベンチには、大きな帆布のトートバッグを肩にかけた女性がいました。私が近づくと、女性は立ち上がりました。
この子はお宅の犬ですか、と尋ねると、女性はぷいと横を向きました。
「知らない犬よ。」
「犬なんて、連れてきてないわ。」
女性は、犬を抱いている私を飼い主だと責めました
ところが、女性は私の腕の中の犬を見ると、急に声を張り上げました。
「ペット禁止、知らないの?」
「あなたの犬でしょ、出ていって!」
広場の向こうまで届きそうな声でした。
突然の言いがかりに、私は驚きました。
自分の犬ではないと説明しようとしても、女性は大声でまくし立て、こちらの話を聞こうとしません。
犬を抱いている私の姿だけを見れば、周囲の人にも飼い主だと誤解されそうです。
私は犬を抱いたまま、どうすれば事情を分かってもらえるのか考えていました。
ベンチの女性
私は犬を芝生に下ろし、そっと手を離しました
女性は、さらに私を責めました。
「食べ物なんか、広げるからよ!」
コーヒーもサンドイッチも台無しにされたうえ、規則破りにまでされるなんて。あまりに理不尽な言い分に、腹が立ちました。
そのとき、腕の中の犬が女性のバッグをじっと見つめ、しきりに鼻を動かしていることに気づきました。
体を女性のほうへ向け、バッグに近づこうとしています。
もしかすると、このバッグに見覚えがあるのかもしれません。
私は犬がどこへ向かおうとしているのか確かめたくなりました。
女性のすぐそばにしゃがみ、犬が逃げ出したらすぐに抱き上げられるよう手を添えながら、そっと芝生に下ろしました。
「この子に、帰ってもらいます。」
女性のバッグの中には、犬用のベッドがありました
手を離すと、犬は迷わず女性の足元へ駆け寄り、肩のバッグめがけて跳びつきました。
突然のことに女性がよろけ、バッグが肩からずり落ちて芝生に倒れました。
バッグの口に詰めてあったクリーム色のカーディガンがこぼれ落ちます。
すると、犬は慣れた様子でバッグの中へするりともぐりこみました。
女性はあわててバッグを胸に抱え上げましたが、その拍子に開いた口から中が見えました。
バッグの底には、紺色の小型犬用の丸いベッドが敷いてあり、犬はそこに収まって顔を出していました。
犬が迷わず入り込んだ様子からも、このバッグに慣れていることがうかがえます。
女性は犬を連れてきたことを隠そうとしていたのでしょうか。
「連れてきてない犬の、ベッドです。」
女性は言い捨てて、バッグを抱えたまま目を伏せました
女性の顔が、みるみる赤くなりました。女性は芝生のカーディガンをひったくるように拾い、言い捨てました。
「勝手に入っただけ!」
私は、静かに言いました。
「ベッドは、勝手に入りません。」
犬が偶然バッグに入っただけだとしても、その中に犬用のベッドまで用意されているのは不自然です。
しかも、犬は初めて入る場所とは思えないほど、くつろいでいました。
女性もそれ以上は否定できない様子でした。
ペット禁止の広場で犬が走り回り、人の昼ごはんまで台無しにしたのに、謝るのが嫌だったのでしょう。それどころか、犬を抱き上げた私を飼い主だと決めつけ、追い出そうとしていたのです。
女性は何も言い返さず、目を伏せました。そして、一度も振り返らずに、犬の入ったバッグを抱えたまま、足早に芝生広場を出ていきました。
私は遠ざかる後ろ姿を見送り、ようやく肩の力を抜きました。昼ごはんは台無しになってしまいましたが、少なくとも身に覚えのない責任を押しつけられずに済んだことに、ほっとしました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














