「あなたも8万の新品を着たら?」お下がりを貧乏くさいと笑うママ友。だが、私のバッグを見て態度が一変
門の外の新品自慢
ママ友は、コートを8万の新品だと自慢しました
年中の娘を園に送ったあと、門の外で少し立ち話をするのが朝の決まりです。
同じクラスのママ友の一人は、私より2つ年下。夫が会社を経営していて暮らしに困ったことがない、というのが口ぐせです。
10月下旬の肌寒い朝、そのママ友はキャメルのダッフルコートのポケットに両手を入れ、もう一人のママ友に胸を張りました。今日初めて着てきたというコートです。
「先週買った新品。8万。」
もう一人のママ友が、すごいね、と目を丸くします。
ママ友は、おゆずり箱の服は貧乏くさいと笑いました
園の玄関には、子ども服だけでなく、保護者の衣類も持ち寄れる『おゆずり箱』があります。着なくなった服を名前を書かずに入れ、必要な人が自由に持ち帰れる仕組みです。その朝も私は、娘の小さくなったトレーナーを入れてきたところでした。
それを見ていたママ友が、私の方へ向き直って笑います。
「お下がりなんか、一枚も着ない。」
うちはね、と付け足し、ママ友はあごを上げました。
「あの箱の服、貧乏くさい。」
色あせたパーカーの私は、新品を着たらと笑われました
ママ友の目が、私の色あせたオリーブのパーカーで止まりました。
「あなたも8万の新品を着たら?」
「見てるこっちが恥ずかしい。」
もう一人のママ友が、口元を手で押さえて小さく笑いました。
貧乏くさいと笑うママ友
言い返せない私は、コートの右ひじも無地かと尋ねました
気に入った物を長く着たいだけだと言いかけると、ママ友が声を大きくしてさえぎりました。
「だから貧乏くさいのよ。」
ここで言い返せば、クラスで浮いてしまうかもしれません。私は口を閉じ、うつむきかけました。
そのとき、ママ友のコートのえりが目に入りました。えりの形に、見覚えがあります。色も形も、以前私が持っていたコートによく似ていました。
まさかと思いましたが、どうしても確かめたくなり、私は顔を上げました。
「8万の新品、右ひじも無地?」
ひじに、私のバッグと同じ水玉の継ぎ当てがありました
私のコートなら、右ひじの後ろ側に小さな継ぎ当てがあるはずです。
ママ友は鼻で笑い、くるりと背を向け、右ひじを私の方へ張り出して見せました。
「当たり前でしょ。」
その右ひじの後ろ側に、赤地に白い大きな水玉の布が見えました。すり切れた部分を隠すため、私が手縫いした継ぎ当てです。普段は腕の陰になり、正面からは目立ちにくい位置にあります。
私は毎朝持ち歩いている手作りのトートバッグの持ち手を握り、ママ友のひじの横に並べました。同じ赤に、同じ大きな水玉です。
「バッグの残り布で、私が縫ったの。」
間違いありません。だいぶ前に名前を書かずにおゆずり箱へ入れた、私の古いコートでした。
いつ、誰が持ち帰ったのかは知りませんでした。右ひじの継ぎ当ても、着ている本人からは見えにくい場所です。ママ友は、私が以前着ていたコートだとは思ってもいなかったのでしょう。
おゆずり箱に入れた私のコートだと知られ、ママ友は目を伏せました
「そういうデザインなの!」
「デザインなら、一番に自慢してる。」
何でも自慢するママ友が、たった今、右ひじも無地だと胸を張ったのです。しかも、その継ぎ当ては私が縫ったもの。新品のコートではないことは明らかでした。
もう一人のママ友も、水玉の布と私のバッグを見比べ、黙って彼女の顔を見ました。
ママ友は体を戻し、両手をポケットに押し込みました。先ほどまでの威勢はなく、視線を落としています。
着てくれてうれしい、おゆずり箱はそのための箱だから、と私が言うと、ごめんなさい、と消えそうな声で言い、ママ友はコートのえりにあごをうずめました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














