「10万円は高い、痛みも母親の仕事だろ」出産で悩んでいた私に他人事のように言った夫。だが、両親学級の帰り道に頭を下げたワケ
相談したはずが、突き放された気がした
初めての妊娠。うれしさと同じくらい、不安も大きかった。
分娩の方法をどうするか、私はなかなか決められずにいた。
無痛分娩という選択肢もあると知って、パンフレットを片手に夫へ相談した。
「無痛だと、追加で10万円ほどかかるみたいなの。でも、初めてだから少しでも落ち着いて迎えたくて」
すると夫は、テーブルの向こうで面倒くさそうに言い放った。
「10万円は高い、痛みも母親の仕事だろ」
その一言に、頭が真っ白になった。
相談に乗ってほしかっただけなのに、まるで自分には関係ないと線を引かれたようだった。
産むのも、その先の日々を過ごすのも私。
それを「母親の仕事」と言い切って、彼は最後まで人ごとのままだった。
私が欲しかったのは、正解の分娩方法ではなかった。
ただ、一緒に迷って、一緒に決めてほしかっただけだ。
それなのに、費用の話にすり替えられ、痛みは女の役目だと突き放される。
この人は、私の隣で親になる覚悟がまだないのかもしれない。
そう思うと、悲しさよりも心細さが先に立った。私は反論する気力も湧かず、その日は話を切り上げた。
助産師さんの話を聞いた、その帰り道
それから間もなく、私たちは両親学級へ足を運んだ。
会場では助産師さんが、出産までに夫婦で準備しておきたいこと、産後に母親の体がどれだけ回復に時間を必要とするかを、順を追って話してくれた。
「どの分娩を選ぶかは、ご家庭ごとの答えがあります。大事なのは、パートナーが一緒に悩んでくれること。その安心が、何よりの支えになるんですよ」
その言葉を聞きながら、夫はずっと下を向いていた。会場を出て、駅へ向かう道の途中で、彼はふいに立ち止まった。
「この前、母親の仕事だなんて言って、悪かった。俺、自分は痛くも痒くもない立場で、ずいぶん勝手なことを言ってた」
まさか謝られるとは思わず、私は足を止めた。夫は続けた。「費用のことも、方法のことも、二人で決めよう。君ひとりに背負わせて、平気な顔をしてた自分が恥ずかしい」。うつむいたその横顔は、本気で反省しているように見えた。
あれほど遠く感じた背中が、急に近づいた気がした。費用がいくらだとか、どちらが正しいだとか、そんなことはもうどうでもよかった。一緒に悩んでくれる。ただそれだけのことが、これほど胸を温かくするのだと、私はその帰り道に初めて知った。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














