「同じ酒が3回も来たぞ、店のミスだろ」居酒屋で店員を責めた上司。だが、部下たちの反応を見て黙った瞬間
何度も届く、上司へのおかわり
以前、居酒屋のホールでアルバイトをしていたころの話です。
店の奥には長いテーブルがあり、そこへ月に何度も、会社の仲間らしい10人ほどの団体が来ていました。
よく利用してくれる、ありがたいお客様でした。
上座に座る50代くらいの男性は、部下たちの上司のようで、いつもウーロンハイを飲んでいました。
その男性のグラスが減ってくると、部下たちが気を利かせておかわりを注文します。
席から声をかける人もいれば、手洗いに立ったついでに廊下で私を呼び止める人もいました。
「すみません、ウーロンハイ、もう1杯お願いします」
ところが、誰かがすでに注文していることを、ほかの部下は知りません。
そのため、同じウーロンハイの注文が重なり、2杯、3杯と届いてしまうことがありました。
最初に重なったとき、上司の男性は小さくため息をつきました。
「おい、これ、さっきも来たぞ」
そして次の来店でも、同じことが起きました。
3杯目をテーブルに置いたとき、男性は箸を置き、声を荒らげたのです。
「同じ酒が3回も来たぞ、店のミスだろ」
「申し訳ありません。でも、ご注文はいただいているんです」
「はあ?誰も頼んでないから言ってるんだ。客のせいにする気か!」
部下たちは気まずそうに目を伏せ、誰も自分が注文したとは言いません。
男性は店長を呼びつけると、私を指さしました。
「この人の聞き間違いじゃないのか。ちゃんと確認してくれよ」
結局、店長はその場で頭を下げました。
確かに注文を受けたのに、自分のミスとして扱われてしまったことが悔しくてたまりませんでした。
3枚の伝票を見た上司の反応
それから私は、その団体の注文を受けるたびに、伝票へ時刻と注文を受けた場所を書き添えることにしました。
そして、次の来店の日。
またしても、上座の男性へのウーロンハイが3杯重なりました。
3杯目を運ぶと、男性は私をにらみつけました。
「またか。今日こそ店のミスを認めてもらうぞ」
私は手元の3枚の伝票を男性に見せました。
「すみません。こちらがご注文の記録です。受けた時間と場所も書いてありますので、一度確認していただけますか」
男性は不満そうな顔のまま、伝票を読み始めました。
「7時10分、席。7時12分、廊下。7時13分……手洗いの前?」
「はい。それぞれ別の方からご注文をいただきました」
「……別の人から?」
男性が顔を上げ、部下たちを見回しました。
すると、近くに座っていた3人が、気まずそうに手を上げたのです。
奥の席では、別の部下が口元を押さえてうつむいていました。
「お前たちが頼んでたのか…」
先ほどまでの勢いはなく、男性の顔が赤くなっていきます。
大きな声で店のミスだと言い張っていたため、隣のテーブルのお客様もこちらをちらりと見ていました。
男性は何か言いかけましたが、結局何も言わず、伝票から目をそらしてグラスを引き寄せました。
私は一礼して、厨房へ戻りました。
その日のうちに店長と話し合い、今後、その団体の注文はテーブルでのみ受けることにしました。
男性から謝罪の言葉はありませんでした。それでも、自分が受けた注文に間違いがなかったと分かってもらえたことで、ようやく胸のつかえが取れた気がしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














