「俺のこと信じられないの?」起業資金を求めた彼。だが、彼に質問すると、答えられないことばかりだった
中身を言わずに20万円を求める彼
30代のころ、付き合っていた彼から「大事な話がある」と言われ、仕事帰りに夜のファミリーレストランで待ち合わせました。
向かいに座った彼は、コーヒーを前に何度も座り直しています。
何の話だろうと思っていると、ようやく口を開きました。
「会社を作ることになってさ。20万円、用意してくれないかな」
聞けば、会社の同僚から「一緒にやろう」と誘われたそうです。
「何をする会社なの?」
「それは…まあ、いろいろ。まだ詳しくは言えないんだよ」
私は思わず首をかしげました。20万円を出してほしいと言うのに、何に使うお金なのかさえ分かりません。
仕事でも使っていた黒い表紙の手帳を取り出すと、彼は露骨に嫌そうな顔をしました。
「いちいち書くの?同僚がちゃんと考えてるんだって」
「だって20万円でしょ。何に必要なのかくらい聞きたいよ」
そう返すと、彼は少し身を乗り出しました。
「俺のこと信じられないの?」
声が大きくなり、近くのテーブルの客がこちらを振り返りました。
質問する私がおかしいように扱われたことにも、腹が立ちました。
質問を書くたび、答えに詰まっていく彼
私は言い返す代わりに、手帳を開いてペンを持ちました。
「じゃあ聞くね。同僚と2人で始めるの?」
彼は少し黙ってから答えました。
「…たぶん、2人で」
「20万円は何に使うの?」
「そこは同僚が…」
「その人は、自分ではいくら出すの?」
今度は返事がありませんでした。
ほかにも、どんな形で始めるのか、どうやって仕事を取るつもりなのかと聞きましたが、彼からははっきりした答えが返ってきません。
手帳には質問だけが並び、その横はほとんど白いままでした。
私はペンを置き、手帳を彼のほうへ向けました。
「これだけ聞いても分からないなら、私は20万円は出せないよ。まずあなたが、同僚にちゃんと聞いたほうがいいんじゃない?」
彼は何も言わず、白い欄を見つめていました。さっきまで身を乗り出していた体も、ゆっくり背もたれに戻っていきます。
白い手帳を見て、彼が引っこめた話
しばらくして、彼は小さな声で言いました。
「…もういい。この話はなかったことにする。今の会社で、もう少しやってみるよ」
あれほど強い口調で20万円を求めていたのに、それ以上頼んでくることはありませんでした。
私は手帳を閉じ、会計では自分のコーヒー代だけを払いました。
テーブルには、彼が指先で丸めた紙ナプキンが残っています。
恋人だからといって、お金の理由まで聞かずに信じる必要はない。
店を出たとき、私はそんなことを考えていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














