「電子マネーで払うって決まってるだろ!」支払い方法を答えなかった男性。だが、カードをかざした直後に黙った理由
カードを見せるだけで、何も答えない男性
僕が20代のはじめ、夜のコンビニでアルバイトをしていたころの話です。
日付が変わる少し前、レジには数人のお客さんが並んでいました。先頭にいた40代くらいの男性が、おにぎりと栄養ドリンクを台に置きます。
会計を進めながら、僕は男性に尋ねました。
「お支払いはどうされますか?」
男性は答えず、手にしたカードを僕に見せるように持ち上げました。クレジットとしても電子マネーとしても使えるカードです。
「クレジットですか?電子マネーですか?」
もう一度聞いても返事はありません。男性はカードを持ったまま、レジ横の揚げ物のケースを見ています。
「すみません、お支払い方法はどちらでしょうか」
それでも答えはありませんでした。
後ろにはほかのお客さんも待っています。焦った僕は、カードを出しているのだからクレジットだろうと思い込み、そのままクレジットの操作を進めてしまいました。
ところが、決済が終わったとたん、男性の表情が変わりました。
「電子マネーで払うって決まってるだろ!」
「すみません。何度かお支払い方法をお聞きしたのですが…」
すると男性はレジ台をこぶしでたたきました。
「カード出してるんだから、それくらい分かるだろ」
突然声を荒らげられ、僕の手は震えていました。
打ち直したあと、読み取り機が鳴った
声を聞いて事務所から出てきた40代くらいの店長が、僕の隣に立ちました。
男性の話をひと通り聞いたあと、店長は落ち着いた声で答えました。
「お客様、こちらのカードは支払い方法によって操作が変わりますので、先にお伝えいただく必要があるんです。本人も何度か確認していたようです」
男性は不満そうな顔をしました。
店長は続けます。
「ただ、こちらも確認が取れないまま操作を進めてしまいました。申し訳ありません。いったん取り消して、電子マネーでやり直します」
店長が処理を終え、電子マネーでの支払い画面に切り替えました。
男性はまだ不機嫌そうなまま、カードを読み取り機に当てます。
ピッ、と短い音がしました。
ところが、画面に出たのは残高が足りないという表示でした。
男性はカードを持ったまま、その場で動きを止めました。
店長が静かに尋ねます。
「残高が足りないようですが、どうされますか。先ほどのクレジットでしたらお支払いいただけます」
さっきまで大きな声を出していた男性は、しばらく画面を見つめていました。
そして、小さな声で答えました。
「……じゃあ、クレジットで」
会計を終えると、男性は商品を受け取り、そのまま店を出ていきました。
店長はレジを戻しながら、僕に言いました。
「ちゃんと確認したのはよかったよ。ただ、次から返事がないときは、分かるまで進めなくていいから」
僕は「はい」と答えました。
何度聞いても返事がない相手を前に、後ろの列を気にして焦ってしまった僕にも反省するところはありました。それ以来、どれだけレジが混んでいても、支払い方法だけはきちんと確認してから操作するようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














