「電車が止まるまでは出勤ね」大雨の朝、バイトの私を呼び出す店長。ずぶ濡れの私が店の裏口からかけた電話で折れた
大雨の朝の電話
大雨と強い風の朝、店長から出勤するよう電話がありました
私は駅前の雑貨店でアルバイトをしています。
その朝は、夜中から続く大雨に強い風が加わり、窓ガラスがずっと鳴っていました。
出勤するか迷いながら着替えていると、店長から電話がかかってきました。
「電車が止まるまでは出勤ね。」
「今日はお店を閉めませんか?」
店長はもう家を出たと言い、私は休みたいと言えなくなりました
店長は電話の向こうで、わざと聞こえるようにため息をつきました。
「俺だってもう家を出てるんだ。」
ほかの子もみんな来るんだから、と店長は続けます。
「君だけ休ませるわけにいかないよ。」
店長本人がもう向かっていると言うのです。アルバイトの私が、それでも休ませてくださいとは言えませんでした。
駅へ向かう途中、強い風で傘が裏返って折れてしまいました
外へ出たとたん、横からの風が傘をあおりました。
「あっ、傘が…!」
骨の折れた傘を閉じて駅まで走るうちに、服は肩から裾までずぶ濡れになりました。
出勤の時間はとうに過ぎていました。
遅れると謝る電話
店長は、裏口の前で鍵を開けて待っていると言いました
後輩から、一緒に行きませんかと連絡があり、乗り換えの駅で待ち合わせました。
後輩も、ほかの子も来るからと言われて家を出たそうです。
私は店長に電話をかけ、まだ1時間半はかかりそうです、と謝りました。
「とっくに裏口の前で待ってるんだぞ。」
鍵も開けてあるのに、と店長は言い、遅れた分は時給から引くからね、と電話を切りました。
遅れているのは本当なので、何も言い返せません。
閉まった裏口から電話すると、店長はそこにいると言い張りました
乗り換えた電車は思ったより早く動き出し、1時間後、私たちはずぶ濡れのまま、店の裏の細い路地に駆け込みました。
裏口の扉は、取っ手を引いても動きません。鍵は閉まったままです。扉をたたいても、中からは返事がありません。軒下にいるのは、私と後輩の2人だけでした。
私はもう一度店長に電話をかけました。後輩にも聞こえるようスピーカーにして、自分がどこにいるかは言わずに、今どちらですか、と聞きました。
「だから、裏口の前にいるって!」
「私たちも今、その扉の前です。」
電話の向こうから、テレビの笑い声とお煎餅の音がしました
店長が、急に黙りました。大雨のはずの電話の向こうからは、雨の音ひとつしません。聞こえるのは、テレビの笑い声と、ぱりぱりとお煎餅を食べる音です。
「い、今そっちへ向かってて…。」
「とっくに裏口の前なんですよね?」
「テレビの音も聞こえていますよ。それに、少なくとも裏口には私たち以外、誰もいません。」
そう伝えると、店長は何も言い返せなくなりました。
私たちが着く前に、こっそり店へ行き、最初から出勤していたふりをするつもりだったのでしょう。
「この天候で、これ以上外で待つのは危険です。今日は帰宅させてください。遅刻についても、私たちだけの責任にしないでくださいね。」
しばらく沈黙したあと、店長は小さな声で答えました。
「分かった。今日は休みにしていい。店は俺が対応する。」
さっきまでの威圧的な口調は、すっかり消えていました。
私は後輩と顔を見合わせ、思わず笑ってしまいました。そして、これ以上雨に打たれないよう、急いで駅へ引き返しました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














