運転中。「お先にどうぞ」と対向車線の運転手が譲ってくれた。だが、アクセルを踏んだ瞬間、思わず背筋が凍った
譲り合いの結果
「ふう、今日は一段と道が混んでいるな……」
還暦を過ぎ、日頃から「安全運転」の四文字を肝に銘じてきたつもり。
その日、私が差し掛かったのは片側二車線の大きな幹線道路でした。
右折待ちの列に並びますが、対向車線は信号の先まで車が数珠つなぎ。全く動く気配がありません。
「これじゃあ、当分は曲がれそうにないな」
そう諦めかけた、その時。
対向車線の右側、センターライン寄りの車線を走っていた大きなトラックが、スッと私の前で停車したのです。
運転席の男性が、「お先にどうぞ」と手で合図を送ってくれます。
「おっ、すみません。助かります!」
私は車内で軽く会釈。
ブレーキを緩め、ゆっくりとアクセルを踏み出しました。
「よし、今のうちに……」
確認は徹底しよう…
トラックの前を横切り、右折を開始したまさにその瞬間。
「……っ!? 危ないっ!」
トラックの陰で見えなかった左側の車線を、別の車が猛スピードで突き進んできたのです。
「キィィッ!」
慌ててブレーキを床まで踏み込みました。
車体はガクンと大きく揺れ、私の車の鼻先をかすめるようにして、巨大な鉄の塊が轟音とともに通り過ぎていきました。
「……ひ、ひえぇ。死ぬかと思った……」
心臓が早鐘のように打ち鳴らされ、ハンドルを握る手が小刻みに震えます。
やってきた車も、譲ってくれた車に負けないほど巨大なトラック。
もし、あと数十センチ前に出ていたら。もし、ブレーキを踏むのが一瞬でも遅れていたら……。
私の車の左側は跡形もなく潰され、そのまま押しつぶされていたに違いありません。
「……助かったのか、俺」
相手が大型車だっただけに、まともに衝突していれば命はなかったはず。そう気づいた瞬間、背筋に冷たいものが走りました。
「譲ってもらったからって、そこが安全とは限らないんだな……」
止まってくれたトラックの運転手さんも、驚いたような顔でこちらを見ています。
親切心から生まれたはずの「譲り合い」が、一歩間違えれば「最悪の事故」の引き金になる。その恐ろしさを身をもって知りました。
「これからは、大きな車の陰には必ず『何か』が隠れていると思わなきゃいけない」
大きく深呼吸をして、ようやく落ち着きを取り戻した私。
皆さんも、交差点での譲り合いにはくれぐれもご用心を。見えない車線には、死角という名の恐怖が潜んでいるかもしれません。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、60代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














