「生活費を5万円ほど、貸してもらえないでしょうか」親戚に貸したお金。だが、5年間返済を求めなかった私が気づいた本音
返ってこなくてもいいと思って渡した5万円
親戚に5万円を渡したのは、五年ほど前のことです。
家業がうまくいっていない時期だと聞いていたころ、その親戚から電話がかかってきました。
普段は年に一度会うかどうかの間柄です。
少しためらうような声で、こう頼まれました。
「生活費を5万円ほど、貸してもらえないでしょうか」
私は少し考えてから、「わかりました」と答えました。
ただ、そのとき心の中では、もう返ってこなくてもいいと思っていました。困っているなら渡そう。自分の中では、あげるつもりだったのです。
それなのに、実際に口にしたのは別の言葉でした。
「お貸ししますね。落ち着いてからで大丈夫ですから」
すると親戚も、「ありがとうございます。必ずお返しします」と答えました。
後日、私は白い封筒に5万円を入れて手渡しました。
二週間後に届いたお菓子に、なぜか引っかかった
それから二週間ほどして、親戚から宅配便が届きました。
箱の中には、きちんとしたお菓子と短い手紙が入っていました。
「大変助かりました」
感謝の言葉を読み、わざわざ送ってくれたことはありがたいと思いました。
ところが、お菓子の箱を見ながら、なぜか少しだけ引っかかったのです。
返してもらわなくてもいいと思っていたはずなのに、「これで、この話は終わりなのかな」と感じている自分がいました。
箱を開けたまま台所に置き、夕飯を作りながら考えました。しかし、自分でも何が気になるのか、うまく説明できませんでした。
「貸すって言ったんでしょう?」夫の言葉で気づいた
しばらくして、私は夫にだけこの話をしました。
すると夫は、私の話を聞いたあとで言いました。
「でも、貸すって言ったんでしょう?」
「うん。そうなんだけど……」
「だったら、向こうは普通に借りたつもりなんじゃない?」
その言葉を聞いて、ようやく気づきました。
私は「あげるつもり」だったのに、相手には「貸す」と伝えていました。
そして自分でも気づかないうちに、「貸したと言った以上、いつか返す話くらいは出るだろう」と思っていたのです。
それから五年、親戚から5万円の話が出たことはありません。
法事で会えば普通に話しますし、私から返してほしいと言ったこともありません。
今も、お金を返してほしいとは思っていません。
ただ、あのときの自分には一つだけ間違いがあったと思っています。
あげるつもりなら、あげるつもりだと伝える。
貸すなら、返してもらうつもりで貸す。
自分の本音と相手に伝える言葉をずらしてしまうと、あとになって自分自身がモヤモヤすることがあります。
今でも引き出しにある白い封筒を見ると、あの日の5万円を思い出します。そして、お金を渡すときほど、自分の気持ちと言葉を曖昧にしないようにしようと思うのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














