「今日から全員、朝はプロテイン1杯だ」1箱のはずが10箱届いたプロテイン。5万円の注文ミスを知った父が真顔で始めた家族の新習慣
玄関に積み上がった10箱のプロテイン
わが家は父、母、弟、妹、私の5人暮らしです。
朝食は長いあいだ、ご飯とみそ汁が定番でした。
そんなわが家の朝が変わったきっかけは、私の通販での注文ミスでした。
ある日、体を鍛えている弟から頼み事をされました。
「姉ちゃん、プロテインを1箱頼んでくれない?」
1箱5千円。数字には強いほうだと思っていた私は、寝る前に布団の中で注文を済ませました。
ところが、数量を入力したあと、きちんと確認もせずに注文ボタンを押してしまったのです。
3日後の夜、仕事から帰って玄関を開けると、目の前には大きな箱の山。
弟の頭を越える高さまで積まれていて、その前で本人が腕を組んで待っていました。
「姉ちゃん、頼んだのは1箱だったよね?」
「うん。…え、これ全部うちの?」
「全部、姉ちゃん宛て。10箱あるんだけど」
慌てて注文履歴を開くと、数量は「1」ではなく「10」。
合計金額は5千円どころか、5万円になっていました。
しかも、弟はすでに1箱開けていました。
返品もできず、私はその場で頭を抱えてしまいました。
「今日から全員、朝はプロテイン1杯だ」
そこへ母が廊下の奥から顔を出しました。
箱の山を見た途端、大きなため息をつきます。続いてやってきた妹は、箱を数えながら笑いをこらえていました。
「ごめん!お金は私が出すから」
「それはいいけど……こんなに飲みきれるの?」
母に聞かれた弟は、箱を見上げて黙って首を横に振りました。
そこへ父もやってきました。
しばらく箱を眺めていた父は、ひとつせきばらいをすると、妙に真剣な顔で言ったのです。
「今日から全員、朝はプロテイン1杯だ」
「お父さん、今日の朝はもう終わってるよ」
妹がそう指摘すると、父は表情を変えずに答えました。
「では、明日からだ」
その真剣さがおかしくて、私は思わず笑ってしまいました。
翌朝、食卓には同じ色のプロテインが入ったコップが5つ並びました。
父は自分のコップを高く掲げると、手を合わせて「いただきます」。
母がみそ汁に粉を入れようとして、妹に慌てて止められる場面もありました。
こうして、毎朝プロテインを飲むことが家族の習慣になったのです。
ところが、いちばん先に音を上げたのは、肝心の弟でした。
「もうプロテイン、見たくない…」
あんなに欲しがっていたのに、と妹と顔を見合わせて笑ってしまいました。
そして3か月後。
最後の1箱が空になった朝、父は食卓に置かれた空き箱を見つめ、私に聞きました。
「次は、いつ届くんだ」
母も妹も、こちらを見ています。
まさか、また頼まれるとは思いませんでした。
私は苦笑しながら注文画面を開き、今度は数量を指でしっかり確認してから、声に出して読み上げました。
「数量、1。合計、5千円」
あの5万円の失敗以来、注文ボタンを押す前の確認だけは絶対に忘れないようにしています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














