「会長は3年目も私でいいわよね」当然のように名乗ったママさん。だが、教室の沈黙に表情を変えた瞬間
2年続けて会長だったママ
小学3年生の息子のクラスには、保育園のころから一緒の女の子がいます。その子のママは、保育園で保護者会の会長を務め、小学校でも1年生、2年生と続けて学年の会長をしていました。
私は保育園の送り迎えで何度も顔を合わせましたが、あいさつを返してもらったことはありません。ある朝には、近くにいた人へ「あいさつなんて、仲のいい人にすればいいのよ」と話している声が聞こえました。
その直後に目が合うと、そのママは笑いました。ほとんど話したこともなかったので、私はどう接したらいいのか分からず、それ以上声をかけることはありませんでした。
小学校へ上がってからも、様子はあまり変わりませんでした。
2年生の終わりの保護者会で、私が行事について確認しようと声をかけたときのことです。
「すみません。運動会の係って、いつ決まりますか?」
けれど、そのママは私には答えず、隣にいた親しい母親へ顔を向けました。
「ねえ、今度のランチどうする?」
私はそれ以上聞けず、そのまま席へ戻りました。近くにいた何人かの保護者も、その様子を見ていました。
「3年目も私でいいわよね」
そして3年生の春、学年の役員を決める日がやってきました。
教室には保護者が15人ほど集まり、40代くらいの女性の先生が教卓の前で進行していました。私は真ん中あたりの席、そのママはいつも一緒にいる母親と前の列に座っています。
「それでは、会長から決めていきましょう」
先生がそう言うと、そのママはすぐに口を開きました。
「会長は3年目も私でいいわよね」
しかし、返事をする人はいませんでした。
少し間を置いて、先生が尋ねます。
「ほかに推薦される方はいらっしゃいますか?」
すると、後ろの席にいた母親が手を挙げ、誰とでも気さくに話す別の母親の名前を挙げました。
「あの方なら、いつも皆さんに声をかけてくださるので、お願いできたら心強いと思います」
教室のあちこちで、うなずく人がいました。
二人の名前が出たため、先生は挙手で決めることにしました。
最初に、2年間会長を務めていたそのママの名前が呼ばれます。
けれど、手は一つも挙がりませんでした。
そのママの表情が固まりました。隣に座っていた、いつも一緒の母親も机に目を落としています。
続いて、もう一人の母親の名前が呼ばれると、今度は次々と手が挙がりました。私も手を挙げました。
「では、今年はこちらの方にお願いします」
拍手が起こるなか、前の席のそのママは黙ったまま、机のほうを見ていました。
帰り際に返ってきたあいさつ
保護者会が終わり、私は新しい会長になった母親に声をかけました。
「1年間、よろしくお願いします」
すると、すぐに笑顔が返ってきました。
「こちらこそ。何かあったら声をかけてくださいね」
たったそれだけのやり取りでしたが、私は少しほっとしました。
会長という役目以上に、普段どんなふうに人と接しているのか。まわりの人は、思っていた以上によく見ているのかもしれないと感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














