「半額にするのが常識だろ」2割引の弁当を持って怒鳴った男性。だが、店長に壁の時計を指さされて黙った瞬間
半額を要求する男性客
半年ほど前の夕方、近所のスーパーへ買い物に行ったときのことです。
売り場の入口にある柱には、値引きの時間を知らせる札が貼られていました。
私は特に気にせず通り過ぎ、買い物を終えてレジに並びました。
どのレジも混んでいて、私は前から4番目に並びました。
先頭にいたのは、50代くらいの男性です。レジ台には、2割引のシールが貼られた弁当が1つ置かれていました。
20代くらいの女性店員が会計を始めようとすると、男性が声をかけました。
「これ、まだ2割引なの?半額にしてくれない?」
店員は少し困った様子で答えました。
「申し訳ありません。今はこちらのシールのお値段になります」
すると男性は、不満そうに顔をしかめました。
「ええ?もうこんな時間だよ」
「すみません。当店では、まだ2割引でして……」
「よその店なら、とっくに半額になってるぞ!」
男性の声が大きくなり、周囲のお客さんも振り向き始めました。
店員は落ち着いて説明を続けようとしましたが、男性は弁当を自分のほうへ引き寄せ、レジ台を手のひらでたたきました。
「店長を呼べ、半額にするのが常識だろ!」
突然の大きな音に、私も思わず肩をすくめました。
店員は「少々お待ちください」と頭を下げ、店長を呼び出しました。
店長が指さした壁の時計
それから10分ほど、レジは止まったままでした。
男性は腕を組み、何度も「まだ来ないのかよ」と不満を口にしています。
私の前に並んでいた女性も、困ったように男性のほうを見ていました。
しばらくして、40代くらいの店長がやってきました。
店長は店員の横に立ち、男性の話を最後まで聞きました。
「だからさ、半額にしてくれればいいんだよ。そんな難しい話じゃないだろ?」
男性がそう言うと、店長は落ち着いた声で答えました。
「お待たせして申し訳ありません。ただ、当店のお弁当が半額になるのは、夜7時からなんです」
そう言って、売り場の入口にある柱の札を指さしました。
男性は一瞬そちらを見ましたが、納得できない様子です。
「だから、もう夕方だろ。今やってくれたっていいじゃないか」
すると店長は、レジの後ろの壁に掛かっている大きな丸時計を指さしました。
時計の針は、6時半を示しています。
「今は6時半ですので、半額になるのはあと30分後ですね。7時までお待ちになりますか?」
男性は時計を見上げたまま、しばらく黙っていました。
そのとき、列の後ろから小さな笑い声が聞こえました。
私の前の女性も、口元に手を当てています。
男性はちらりと列を振り返ると、気まずそうに視線を戻しました。
「……もういい」
それまでの勢いが嘘のような、小さな声でした。
男性は2割引の金額のまま会計を済ませ、弁当を受け取ると足早に店を出ていきました。
店長は女性店員に「よく対応したね」と声をかけ、待っていた私たちにも頭を下げました。
ようやく私の順番になったとき、店員は少しほっとした表情で言いました。
「大変お待たせしました」
私は「大丈夫ですよ」と答えました。
男性が半額になるのを待ちたかった気持ちは分かります。でも、値引きの時間はお店が決めるものです。
声を荒らげる男性に対しても、最後まで落ち着いて説明していた店長の姿が印象に残った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














