「これ、まけろよ!」カラオケ店で酔っ払って値引きを迫る客。だが、私が最後まで変えなかった主張
伝票を差し出して「まけろよ」
カラオケ店で店長代行を任されていた頃のことです。
夜の時間帯は、フロアの対応から会計まで、私が責任者として見ていました。
その日、受付が少し落ち着いた頃、一人の男性客が伝票を持ってカウンターへやってきました。
お酒が入っている様子で、伝票を私の前へ差し出すと、いきなりこう言ったのです。
「これ、まけろよ!」
私は一瞬聞き間違えたのかと思いましたが、男性は真顔でした。
店には、客の希望だけで料金を値引きできる仕組みはありません。私はいつも通り頭を下げました。
「申し訳ございません。お値引きは承っておりません」
すると男性は少し声を大きくしました。
「まけてくれないなら、店長を呼べよ!」
私はもう一度頭を下げて答えました。
「本日は私が責任者を務めております。申し訳ございませんが、料金は伝票どおりとなります」
何度言われても、答えは変えなかった
それでも男性は納得しませんでした。
「少しくらいいいだろ」「責任者なら何とかできるだろ」と、何度も同じようなことを言ってきます。
正直、横柄な言い方に腹が立たなかったわけではありません。ただ、ここで感情的に言い返しても話が長くなるだけです。
私はそのたびに、同じ説明を繰り返しました。
「申し訳ございません。こちらの料金でお願いいたします」
やり取りが続くうちに、受付近くにいた何人かの客がこちらを振り返っていました。男性も途中でそれに気づいたようで、一度周囲を見回します。
しばらくすると、何を言っても料金が変わらないと分かったのか、男性は大きく息を吐きました。
「……もういい。いくらだ」
私は伝票に書かれた金額を伝えました。
男性は財布から代金を出し、カウンターへ置きました。金額は伝票どおりです。会計を済ませると、それ以上何も言わずに店を出ていきました。
扉が閉まり、私はようやく肩の力を抜きました。
接客をしていると、強い口調で要求されることがあります。それでも、できないことまで相手の勢いに押されて受け入れるわけにはいきません。
頭を下げることと、要求を受け入れることは別です。あの夜、最後まで同じ答えを伝え続けたことを、今でもよく覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














