「駐車場で遊んで、何が悪いんですか」駐車場で遊ぶ子供を注意。だが、母親の発言をうけ、管理会社に相談した結果
車が向きを変える場所で、子どもが遊んでいた
私が借りていたのは、単身者向けの賃貸マンションの一室だった。
窓の下は平置きの駐車場で、部屋にいても誰かの車が入ってくるのが分かる。
子どもの声とは、いちばん縁のない場所のはずだった。
だからその日、外から響いてきたはしゃぎ声には、思わず手を止めた。
窓から見下ろすと、駐車場の中を子どもたちが行ったり来たりしている。
隣はファミリー向けのマンションだ。行き来をさえぎるものがない敷地の境目から、そのまま入ってきたのだろう。
悪いことをしている顔ではなかった。ただ、そこは車が入ってきて向きを変える場所だった。
私は下りていって、しゃがんで話しかけた。
「ここ、車が入ってくるから危ないよ」
子どもたちがうなずきかけたとき、声がした
母親らしき人が立っていた。表情が硬い。
「駐車場で遊んで、何が悪いんですか」
その声には、こちらを警戒する響きがあった。
知らない大人が自分の子どもに近づいている。その一点だけを見れば、身構えるほうが自然だったのかもしれない。私が言葉を探しているうちに、母親は子どもたちを連れて戻っていった。
管理会社は、順を追って動いてくれた
翌日、また同じ声がした。
窓の下では、前の日より人数が増えている。私がもう一度声をかけたところで、きっと同じやり取りになる。個人と個人で言い合えば、角が立つだけだ。
受話器を取って、管理会社の番号を押した。
「駐車場で子どもが遊んでいて、危ないんです」
担当者は、遊んでいる場所と時間帯を一つずつ確かめてから答えた。
「状況は分かりました。まず入口に掲示を出します」
「そのうえで、隣の管理会社さんにもお伝えしておきます」
「事故が起きてからでは遅いですから」
電話を切ったあと、肩の力が抜けた。自分が車を出すときにも、あの高さの姿は運転席から見えないのだと、ずっと気になっていた。
その言葉のとおり、駐車場の入口には掲示が出た。居住者以外は立ち入らないでほしいこと、車の出入りがあること。
子どもを責める書き方はどこにもなく、危険な場所だという事実だけが並んでいた。隣の建物の掲示板にも同じ紙が貼られたと、あとで知った。
それからほどなくして、窓の下から声は聞こえなくなった。母親ともう一度顔を合わせることはなかったし、そのほうがよかったと思っている。私は誰かを言い負かしたかったわけではなかった。
車が出ていくのを見るたびに息を詰めていたのが、うそのようになくなった。言い合いではなく仕組みで片づくことがあるのだと、あの電話で知った。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














