「教習所からやり直せ!」ハンドル握った途端に他車に毒づき出した彼→外面が剥がれた助手席で凍りついた
穏やかな印象だった当時の交際相手
今でも体の芯が冷える相手がいる。
当時付き合っていた男性は、私の友人にも家族にも親しみを持って接していて、私も「いい人と巡り会えた」と信じていた。
知人と一緒に食事をした時にも、店員さんへの言葉づかいが丁寧で、ひとつひとつの所作が穏やかだった。
年齢を重ねた今だからこそ、こういう落ち着いた相手と過ごしたいと願っていた私は、彼との時間に深く安心していたのだ。
休日の朝、軽くドライブに行こうと誘われ、彼の運転で出かけることになった。
助手席に乗り込んで、シートベルトを締めるまで、その日の景色は何ひとつ曇っていなかった。
お気に入りの曲を流しながら、彼はハンドルを握って走り出した。最初のうちは、いつも通り穏やかだったのだ。
目的地までの間に出てしまった素
市街地を抜けたあたりで、彼の声色が少しずつ変わっていった。
前の車のブレーキにも、合流の遅い車にも、ぽつりぽつりと毒を吐き出す。低い声で立て続けに、こう言い放った。
「教習所からやり直せ!」
「ぼけっとすんなよ」。
私に向けたことのない言い回しが、車内に立て続けに転がっていく。
カーナビの案内を私が聞き逃してしまい、ほんの少し道を間違えた時のことだった。
彼はハンドルを握り直し、こめかみに筋を立てて吐き捨てた。
「助手席なんだから、仕事してよ」
その声に、私は息ができなくなってしまった。
私に向けて話す時の優しい声とはまるで違う。低く、責めるような響きが助手席の空気を凍らせた。
(この声、本当に同じ人なんだろうか)。
心の中でそう呟きながら、私はただ前を見つめるしかなかった。
外面の優しさが剥がれた瞬間
目的地に着いて車を降りた途端、彼の表情はまた穏やかに戻った。
「ごめんごめん、ちょっと混んでたから」と、何事もなかったように笑う。
私の歩く速度に合わせ、メニューを覗き込んでくる仕草も、いつもと同じだった。
けれど私の中では、すでに景色が変わっていた。
外面の優しさは、見えない相手や弱い立場の人に向ける態度で簡単に剥がれ落ちる。
あの瞬間、表向きの彼を信じてきた自分の見立てが、音を立てて崩れていく感覚があった。
その日を境に、私は静かに距離を置き始めた。連絡の頻度を落とし、最後は短い言葉で別れを伝えた。
あの車内で凍りついた空気を、私は今も鮮明に覚えている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














