「玄関に来て、うるさいと言われた」二人の子どもが恐る恐る暮らすようになった家。だが、管理会社に相談した後の住民の対応に驚愕
帰宅した家が、静かすぎた
残業を終えて帰宅すると、家の中がやけに静かだった。
子どもが二人いる家で、この静けさは普通ではない。リビングをのぞくと、二人ともテレビの前に体育座りをして、ほとんど動かずに画面を見ていた。
妻に理由を尋ねると、少し言いにくそうに口を開いた。
「玄関に来て、うるさいと言われた」
上の階に住んでいる人が、その日も直接うちのドアの前まで来たのだという。妻は玄関先で頭を下げ、何も言い返さないままドアを閉めたらしい。
入居して間もない頃から、それは何度かあった。私が家にいるときにも、同じことがあった。
「うるさいので静かにしてください」
玄関先でそう言われれば、こちらは謝るしかない。
「すみません、気をつけます」
言われている内容そのものに、反論の余地はなかった。
子どものいる家からは音が出る。走るなと言っても走るし、跳ねるなと言っても跳ねる。床にマットを敷いても、遊ぶ時間を区切っても、生活の音そのものをなくすことはできなかった。
うちが静かな家ではないことを、いちばんよく知っているのは私たちだった。
苦情は止まった。天井は近くなった
ただ、そのあとの子どもたちの様子は、目に見えて変わっていった。
廊下をつま先で歩く。テレビの音量も、言われる前に自分たちで下げる。物を落とすと、こちらの顔色をうかがう。
何かを始める前には、必ず私に確認するようになった。
「これ、うるさい?」
家の中で息を潜める癖がついていた。私は管理会社に連絡を入れた。
音を出しているのはこちらだと認めたうえで、直接うちまで来るのはやめてもらえないか、と頼んだ。
担当の方は嫌な顔ひとつせず、こちらの言い分を先方に伝えると約束してくれた。
「こちらからお話ししておきます」
その言葉のとおり、玄関のチャイムは鳴らなくなった。
直接来られるより、間に人が入ってくれたほうが、子どもにとってもいいはずだった。私が選んだのはこの方法で、間違っていたとは今も思っていない。
けれど、ちょうど同じ頃から、天井の音が増えた。
夜、頭の上で歩き回るような音がする。何かを置く音が、以前よりはっきり響く。妻がぽつりと言った。
「気のせいかな。前はここまで聞こえなかった」
意図があるのか、たまたまなのか、私には判断がつかない。聞きに行って確かめることもできない。
直接言われることがなくなった代わりに、天井の向こうの気配だけが近くなった。そして子どもが走り出すたび、私はやはり同じ言葉を口にする。
「静かにしなさい」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














