tend Editorial Team

2026.07.19(Sun)

「ご飯くらい頼むよ、俺は疲れてる」そう妻に言い続けた夫。だが、妻の代わりに1日回してみて初めて気づいた現実

「ご飯くらい頼むよ、俺は疲れてる」そう妻に言い続けた夫。だが、妻の代わりに1日回してみて初めて気づいた現実

口だけの分担

平日の夜、俺が家に帰ると、家の中はいつも片付いていた。

息子は風呂上がりで、食卓には皿が並んでいる。妻は台所に立ったまま、こちらを振り向きもしない。

「ご飯くらい頼むよ、俺は疲れてる」

鞄を置いて、ソファに沈む。それが俺の帰宅だった。少しだけ息子を見ていてほしいと妻に頼まれても、会議が長引いたと返せば済む話だった。

それでも俺は、自分をよくやっている父親だと思っていた。

休みの日に十分ほど抱っこすれば、周りは「イクメンだね」と言ってくれる。夜泣きも、オムツも、保育園の準備も、洗濯も、俺の頭の中では家事の数に入っていなかった。

「明日の連絡帳、書いてくれる?」

「明日でいいだろ、そんなの」

妻の返事はなかった。その夜も、連絡帳は朝までに書き終わっていた。

代わりに回した1日

妻が高熱で動けなくなったのは、梅雨の終わりだった。

「ごめん、今日は起きられない」

「大丈夫、1日くらいなんとかなる」

本気でそう思っていた。

朝六時。息子が布団の上で泣き始めた瞬間から、俺の1日は崩れ出した。ミルクを温める間に着替えをぐずられ、着替えさせている間に食パンが焦げる。

「パパ、それお茶じゃない」

保育園に着いたのは、いつも妻が出ている時刻より三十分も遅かった。玄関で先生に呼び止められる。

「お着替え袋、今日は入ってないみたいです」

頭が真っ白になった。妻は毎朝、これを全部そろえてから出ていたのか。

家に戻れば、流しに朝の皿。洗濯機の中には昨日の分。掃除機の音で妻が起きないよう気を遣いながら、床のパンくずを拾った。

座ろうとするたび、次の何かが目に入る。終わりが来ない。

夕方、息子を迎えに行って、夕飯を作って、風呂に入れて、寝かしつけた。時計を見たら、二十三時を回っていた。

寝室の襖が開いて、妻が水を取りに出てきた。

「……なあ、これ、毎日?」

「うん、毎日」

「いや、でもさ、俺は仕事もあるし」

言いかけて、口をつぐんだ。妻は責めもせず、コップに水を注いでいる。

「疲れてるって、あなた言ってたよね」

「私も疲れてるって、何度も言ったんだけどな」

コップを持った妻の手は、まだ震えていた。それでも背筋は伸びていた。俺は、その場から動けなかった。

「明日から、俺がやる。今日みたいには、できないけど」

「じゃあ、覚えて」

翌週から、保育園の準備は俺の担当になった。連絡帳も、洗濯物も、順番に覚えていった。忘れる日もある。手際も妻には遠く及ばない。

それでも今は、息子が泣いた夜に先に起きるのは俺だ。妻はもう、俺に頼まなくなった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.07.19(Sun)

「腹減った、飯はまだ作れないの」16週でつわりの私を急かし続けた夫→私がついに返した本音
tend Editorial Team

NEW 2026.07.19(Sun)

「母さんは俺が高校のとき、毎朝五時に起きてたよ」我が家と実家を比べる夫→文句を母にまで言う姿に絶句
tend Editorial Team

NEW 2026.07.19(Sun)

「4人の子供はちゃんと見てた、十分だろ」帰ったら部屋が荒れていた。だが、私が夫に意趣返しした結果
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.01.05(Mon)

「お土産ないの?マナー違反だよ」連休明けに嫌味を言う同僚。だが、上司の一言をうけ態度が一変【短編小説】
tend Editorial Team

2025.09.16(Tue)

発明した人、天才では…?扇風機をネコ化させるカバーが登場。扇風機がおしゃれなインテリアに早変わり!?
tend Editorial Team

2026.05.03(Sun)

「やっぱり高市はニセモノだったわ!」井川意高氏がベビーシッター税優遇案を金持ち優遇と猛批判。高市首相への過激発言に賛否
tend Editorial Team