「返済、手伝ってくれるよな。夫婦なんだし」当たり前のように言う夫。だが、完済時の一言に絶句
一目ぼれ結婚の裏にあったもの
夫は、私に一目ぼれしたと言って結婚を申し込んできた人だった。押しの強さを頼もしいと感じていた頃が、たしかにあった。
その頼もしさの正体を知ったのは、結婚してしばらく経ってからだ。夫には、私の想像を超える額の借金があった。
「返済、手伝ってくれるよな。夫婦なんだし」
家族を守るためだと自分に言い聞かせ、私は貯金を差し出した。
足りない分は、育児の合間に内職で少しずつ返した。
深夜に息子を寝かしつけてから内職を続ける私を、夫は「よくやるね」と他人事のように眺めていた。それでも私は、家族のためだと手を止めなかった。
何年もかけて、借金の残高はゼロになった。その通帳とノートを、私は捨てずに引き出しの奥へしまった。
「俺のおかげ」と開き直る夫
返済を終えた日、私は少しだけ肩の力が抜けた。ところが夫は、ねぎらうどころか、胸を張ってこう言い放った。
「返せたのは俺のおかげだな」
あなたが作った借金を、私も返したのに。その理屈が、どうしても飲み込めなかった。
「稼いでるのは俺なんだから、感謝するのはお前のほうだろ」
感謝すべきはどちらなのか。喉まで出かかった言葉を、私はぐっと飲み込んだ。
反論しかけたが、隣で遊ぶ息子の笑い声が聞こえて、私は口を閉じた。ここで騒いでも、何も変わらない。
その代わり、私は静かに準備を始めた。引き出しの奥の通帳と、返済の記録のノートを取り出して。
通帳が動かした逆転
次に義両親が家へ来た日、私は夫の隣で、あの通帳とノートを食卓に置いた。夫が「何のつもりだ」と眉をひそめる。
「通帳、ご両親に見せますね」
私は返済の履歴を、一ページずつ二人の前で開いていった。義母の顔から笑みが消え、義父の眉間に深いしわが寄った。
「この返済、全部…あなたじゃなくて、お嫁さんが?」
夫は「いや、それは」と言いかけて、続きが出てこない。義父が、抑えた声で夫に告げた。
「情けない。今後の金の管理は、この人に任せなさい」
夫は真っ赤な顔でうつむき、それきり黙り込んだ。いつも大きく見せていた背中が、その日は妙に小さかった。
帰り際、義母は玄関先で私の手を取った。「つらかったでしょう。気づいてあげられなくてごめんね」。その言葉に、ようやく肩の荷が下りた気がした。
それからというもの、家計を預かるのは私になった。夫は何かを買う前に、必ず私に相談してくるようになった。
「今月、これ買っても平気か?」。おそるおそる聞いてくる夫に、私はもう、へりくだる必要がなくなっていた。立場は、静かに入れ替わったのだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














