「弁当くらい、俺にも作れるだろ」高熱で動けない妻の代わりを務めた夫。夕方、ソファへ倒れ込んだ夫の本音とは
「俺にも作れるだろ」と笑った夫
我が家では、料理も洗濯も掃除も、子どもの世話も、そのほとんどを私が引き受けていた。
夫は「仕事で疲れてる」を盾に、家事の輪の外にいるのが当たり前になっていた。
台所に立ちっぱなしの私を見ても、夫は手伝うどころか、軽い口ぶりでこう言うのだった。
「弁当くらい、俺にも作れるだろ」
できるものならやってみてほしい。
喉まで出かかった言葉を、私はいつも飲み込んでいた。言い返せば角が立つし、どうせ本気にはしてくれない。そう諦めていたからだ。
朝の身支度から夜の寝かしつけまで、名前のつかない用事は数え切れない。
それを毎日こなしていても、夫の目には「ただ家にいる人」としか映っていないようだった。何を言っても伝わらない歯がゆさだけが、少しずつ積もっていった。
家事の大変さは、やった人にしか分からない。
頭では分かっていても、それを夫に実感させる方法が、私には思いつかなかった。
ソファに沈んだ1日の終わり
転機は、私が高熱で寝込んだ日に訪れた。朝、体を起こそうとしても力が入らず、そのまま布団に沈み込む。
夫はさすがに慌てた様子で、「今日は俺がなんとかするから」と言った。
夫がひとりで家を回す、初めての1日が始まった。
弁当を作ると意気込んだものの、台所からは焦げたにおいと、慌てふためく物音ばかり。子どもはぐずって泣き続け、洗濯物は畳まれないまま部屋の隅に積み上がっていく。
夫の「大丈夫」という声が、時間とともに小さくなっていくのが分かった。
昼を回るころには、台所には使いかけの食材が散らばり、たたまれない洗濯物がソファを埋めていた。
子どもを抱いてあやしながら、夫は何度もため息をついている。
ふだん私が当たり前にこなしていたことの多さに、ようやく正面から向き合ったのだ。
夕方、そっとリビングをのぞくと、夫はソファに深く倒れ込んでいた。ぐったりと動けず、ただ天井を見つめている。
「たった1日で、こんなにへとへとになるのか…」
絞り出すような声だった。そして、ぽつりとこう続けた。
「本当に何も分かってなかった」
それは、私がずっと聞きたかった言葉だった。責める気持ちより先に、ようやく分かってもらえたという安堵が、じんわりと胸に広がった。
次の朝から、夫は変わった。台所に自分から立ち、洗濯物をたたみ、子どもの呼び声にすぐ応える。「作れるだろ」と軽く言っていた頃の夫は、もうどこにもいなかった。たった1日の経験が、何年分の説得よりも深く、夫の胸に届いたのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














