「電球だけだから、すぐ戻るよ」妻にそう言った私が、ホームセンターで3周することになったワケ
売り場の並びなら知っているつもりだった
休日の朝、廊下の明かりをつけようとすると、電球が切れていました。
脚立にのぼって外してみると、根もとの近くに60ワットと書いてあります。
30代の私は、昼すぎに近所のホームセンターへ買いに行くことにしました。
出かける前、居間にいた妻に声をかけました。
「ついでに何か買ってくるものある?」
「大丈夫。あんまり遅くならないでね」
「電球だけだから、すぐ戻るよ」
ホームセンターに着き、照明売り場へ向かいました。
入口近くの棚には大きな箱が並んでいて、私はそれを見ただけで「ここは照明器具の棚だな」と思い、奥へ進みました。
ところが、探しても60ワットの電球が見つかりません。
1周目は棚をざっと見ただけ。2周目は札を読みながら歩きました。それでも見つからず、3周目になるころには、さすがにおかしいと思い始めました。
白っぽい箱が多いから見落としているのか。それとも、たまたま売り切れているのか。
気づけば、ひとりごとが漏れていました。
「売り場を3周したのに、どこにもない…」
店員さんのあとをついていくと
ちょうどそのとき、店のエプロンをつけた40代くらいの女性店員が通りかかりました。
私はかごを持ち直し、声をかけました。
「すみません。60ワットの電球って、もう売り切れてますか?」
「60ワットですね。こちらです」
店員さんは迷うことなく歩き出しました。
てっきり別の売り場へ向かうのだと思っていましたが、進む方向は、さっき私が何度も通ったほうです。
さらに歩いていくと、今度は売り場の入口まで戻ってきました。
「あれ、こっちなんですか?」
「はい。入口のすぐ近くですよ」
店員さんが足を止め、棚を指しました。
そこは、店に来て最初に私が立ち止まった場所でした。
そして目の高さの段には、60ワットの電球がずらりと並んでいました。
最初に上の段の大きな箱だけを見て、「ここにはない」と決めつけていたのです。
「……ありましたね」
恥ずかしくなりながら1箱をかごに入れると、店員さんは笑って言いました。
「近くにあると、意外と見落とすことありますよ」
「ありがとうございます。3周もしてました…」
家に帰って電球を付けかえると、廊下がぱっと明るくなりました。
スイッチのそばにいた妻が、私を見て言いました。
「けっこうかかったね。迷ってた?」
私は少しだけ間を置いてから答えました。
「……まあ、ちょっとだけ」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














