「やっぱり俺がいるとうるさいんだね」先輩への冗談を誤って一斉送信した私。翌朝、待っていた先輩の一言
10秒後に気づいた宛先
去年の11月のことです。60代の私が勤める事務所では、部署でいちばんにぎやかな50代の先輩が、体調を崩して3日休んでいました。
年は私のほうが上ですが、仕事を一から教えてくれた人です。
昼すぎ、私は自分の机で、その先輩へのお見舞いメールを書いていました。
普段から軽口をたたき合う仲なので、まじめなお見舞いの言葉だけでは少し堅い気がしました。
いつも聞こえてくる大きな笑い声がないだけで、事務所まで妙に静かに感じます。
そこで最後に、冗談のつもりで一文を付け足しました。
「先輩が休んで3日、職場が静かすぎて平和です」
これならきっと笑ってくれる。そう思って送信ボタンを押しました。
ところが約10秒後、画面を見た私は固まりました。
宛先に入っていたのは先輩一人ではありません。部署全員に送られる宛先を選んでいたのです。
「あっ、まずい…」
思わず声が漏れると、向かいの席の同僚が顔を上げました。私の慌て方を見て、何かあったと気づいたようです。
「これ、送ったメールって取り消せないかな」
「もう届いてると思いますよ」
その直後、受信の音が鳴りました。
差出人は、休んでいる先輩本人。
しかも返信先は部署全員でした。
「やっぱり俺がいるとうるさいんだね」
次々と届き始めた返信
私は慌てて謝罪のメールを書き始めました。
ところが、その途中にも受信の音が鳴ります。
今度は部署のほかの先輩たちからで、やはり全員あてでした。
「今日も1日、平和を守ります」
「こちらも静かに過ごします」
事務所のあちこちから、くすくすと笑う声が聞こえてきます。
受信箱には、私が謝罪を送るより先に、冗談に乗っかった返信が次々と並んでいきました。
私は何度も文章を書き直し、最後には宛先が休んでいる先輩一人だけになっていることを確認してから、ようやく謝罪のメールを送りました。
翌朝、出社して席に着くと、元気になった先輩がまっすぐこちらへ歩いてきました。
私はすぐに立ち上がりました。
「昨日は本当にすみませんでした」
すると先輩は、笑いながら私の肩をぽんとたたきました。
そこへ、ほかの先輩たち3人も笑いながら集まってきます。
「おう、平和担当。今日から俺がいるから、平和は終わりだな」
周りから笑い声が上がると、向かいの席の同僚もすかさず言いました。
「平和担当、今朝のあいさつもお願いしますよ」
私は恥ずかしくてたまりませんでしたが、先輩が怒っていないことには、ほっとしました。
それからしばらく、私のあだ名は「平和担当」でした。
そしてこの一件以来、メールを送る前に宛先を3回確認する癖だけは、今も抜けていません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














