「そちらの親は、1円も出さないのか」結婚式の費用で揉めた義両親。何度説明しても通らなかった言い分
母が三度出した封筒
結婚が決まって初めて実家へ報告に行った日、母は話の途中で立ち上がり、仏壇の引き出しから封筒を出してきました。
「少しでいいから、これ使いなさい」
「二人で出すって決めたから。気持ちだけもらっとく」
「向こうのご両親に、失礼にならない?」
「ならないよ。夫のほうからも、ちゃんと話してあるから」
母は納得しない顔のまま封筒を戻しました。それから式までに、同じ封筒があと二度出てきます。三度とも私が断りました。
父は決めたのはあの子たちだと言って、金額の話には入りません。
振込の控えが先に届いた
秋の連休に夫だけが帰省して、その夜のうちに話は決まっていました。義父が式の費用を出すと言い出し、夫が断り、それでも押し切られたのだそうです。
数日後、振込の控えが郵便で届きました。夫はその日のうちに自分名義の口座へ移します。
「式が終わるまで、動かさない」
「返したほうがいいんじゃないの」
「返そうとしたよ。受け取ってもらえなかった」
ありがたい話です。息子の門出に何かしたい気持ちが、少し先に走っただけだとも思いました。ただ、その気持ちは、こちらの実家の話になると形を変えます。
同じ問いが、集まりのたびに戻ってくる
年末の集まりで、義父が湯呑みを置きながら言いました。
「そちらの親は、1円も出さないのか」
「うちは、どちらの親からも受け取らないと決めていて。母からの申し出も断っています」
「断る家があるか」
年明けにも、同じことを聞かれました。式の一か月前にも聞かれました。そのたびに同じ説明をして、そのたびに同じ顔をされます。四度目で、私は言い方を変えるのをやめました。
披露宴が終わった日の夜、親族だけが残った控室で、義父が夫に尋ねました。
「あの100万円は、何に使ったんだ」
「手をつけていません。式のぶんは、二人の口座から払い終わりました」
義父の目が、封筒でも探すように座卓の上をさまよいました。口を開きかけて、息だけが出ます。
「……そうか」
義母が横から手を伸ばして、義父の湯呑みを下げました。
「出したかったのは、あなたでしょう。この子たちに勘定させないの」
義父はうつむいて、それきり何も聞きませんでした。
説明は最後まで届きませんでした。届かないまま、式は私たちのお金で終わっています。あれから義父は、うちの実家の話を一度もしません。100万円は、いまも手つかずのまま夫の口座にあります。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














