「玄関の前で、また立ち話してる」と思いつつ毎日謝って家に入る私。私の頼みに、近所の母親が頭を下げた
玄関の前で話し込む近所の母親
買い物から帰った私は、玄関前の近所の母親に声をかけました
私は五十代で、子どもたちはすでに独り立ちし、今は夫と二人で暮らしています。
家は関西の住宅街にある戸建てで、玄関のすぐ前が道路になっています。
このあたりは小学生のいる家が多く、夕方になると、外で遊ぶ子どもたちの声が通りに響きます。
その声は気になりません。私が困っていたのは、迎えに出てきた近所の母親たちの立ち話でした。
はじめは向かいの家の前で話していたのに、いつの間にか場所が移り、うちの玄関の真ん前で話し込むようになりました。
その日も、スーパーの袋を提げて帰ると、近所の母親がふたり、玄関の前で話に夢中でした。
「玄関の前で、また立ち話してる。」
心の中でそうつぶやいても、口には出せません。
「すみません、通ります。」
声をかけると、ひとりが振り向いて言いました。
「あ、ごめんなさい。」
半歩だけよけてくれたすき間を、私は袋を抱えて通りました。
私は毎日、謝りながら自分の家に入っていました
鍵を開けて家に入るたび、思っていました。
自分の家なのに、なぜ毎回「すみません」と声をかけなければならないのだろう、と。
家に入ったあとも、扉越しにふたりの笑い声が聞こえてきました。
玄関の前で立ち話は続いているようでした。
そんな日が何日も続きました。ひとこと言おうかと迷ったこともあります。
けれど、この先も顔を合わせる人たちです。気まずくなるのが嫌で、私は愛想笑いを浮かべて会釈し、通り続けました。
別の日の夕方も、ふたりは同じ場所で話し込んでいました。
「うちの子、まだ遊んでるね。」
玄関の扉を開けた私
私は思わず、玄関の前を空けてほしいと相手に頼みました
それから何日かあとの夕方でした。玄関の扉を開けて外へ出ようとした瞬間、すぐ目の前に人が立っていて、ぶつかりそうになりました。
相手は驚いて、『あ、ごめんなさい』と笑いながら、半歩うしろへ引きました。
その笑顔を見たとき、ずっとしまい込んでいた言葉が、自然に出てきました。
「うちの玄関なんです。」
「玄関の前だけ、空けてください。」
きつく言ったつもりはありません。それでも、自分で思っていた以上にはっきりとした声が出ました。
近所の母親は私に頭を下げ、ふたりで道路の向こう側へ移りました
相手はきょとんとして、すぐに表情を改めました。
「気づかなくて、すみませんでした。」
その人は私に頭を下げ、もうひとりにも声をかけました。ふたりはそろって、道路の向こう側へ移っていきました。
立ち話がなくなったわけではありません。それでも、玄関の真ん前で話し込まれることは、ずいぶん減りました。
もっと早く言えばよかったのかもしれません。けれど、相手がご近所だと、言い方はどうしても迷ってしまいます。あの日を境に、夕方に玄関を出入りするのが少し楽になりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














