「それはそれでいいよね」息子の進路を比べられた私。だが、隣のお母さんが知っていた息子の今
公民館の秋のイベントで、久しぶりの再会
息子が中学2年になった秋、私は近所の公民館で開かれた地域イベントの受付を手伝っていました。
隣に座っていたのは、同じ部活に子どもがいるお母さんです。二人でパンフレットを並べていると、聞き覚えのある声がしました。
「あれ?久しぶり!」
顔を上げると、小学校時代のママ友が立っていました。
「わあ、本当に久しぶり。元気だった?」
「元気だよ。こんなところで会うとは思わなかった」
隣のお母さんに「お知り合いですか?」と聞かれ、私は「子どもが小学校のとき、同じクラスだったの」と答えました。
そのママ友は、小学校時代の3年間、中学受験の話になるたびに「うちは受験しないよ」と笑っていました。
ところが6年生になると塾へ通い始め、その後、国立の中学に合格したと知りました。
一方、うちの息子は自分で希望した地元の公立中学へ進み、今は部活に夢中です。
久しぶりの会話は、進路の話になった
ママ友は受付の前で、ふと思い出したように聞きました。
「そういえば、息子くんは今どこの中学?」
「地元の中学だよ。毎日、部活ばっかり」
「あ、地元なんだ」
一瞬だけ間がありました。
「うちは受験してから勉強が大変でさ。でも、今思うと頑張らせてよかったかな」
「そうなんだ。忙しそうだね」
すると、ママ友は笑いながら続けました。
「そっちは部活中心なんだね。のびのびできて、それはそれでいいよね」
悪気はなかったのかもしれません。
でも「それはそれで」という言葉が妙に引っかかり、私は少し返事に迷いました。
「まあ、本人は今の学校がすごく楽しいみたいだから」
そう答えたとき、それまで黙っていた隣のお母さんが顔を上げました。
隣のお母さんが話してくれた、息子の今
「息子くん、この前の大会すごかったですよ」
ママ友が「え?」と振り向きました。
「うちの子、帰ってきてからずっと話してたんです。『あのプレー、すごかった』って」
私も思わず聞き返しました。
「そんなこと言ってたの?」
「言ってましたよ。本人にはたぶん言わないと思いますけど」
そう言って笑ったあと、隣のお母さんは何気ない口調で続けました。
「毎日楽しそうに通ってるなら、それが一番ですよね。うちも結局、そればっかり気にしてます」
誰かを責めるような言い方ではありませんでした。
それでも、その一言に私は少し救われた気がしました。
ママ友も「そっか」とうなずきました。
「部活、そんなに頑張ってるんだ」
「うん。毎日くたくたで帰ってくるよ」
「それは大変だね」
そのあとは「このイベントって何時まで?」と話題が変わり、ママ友はパンフレットを受け取って会場の奥へ歩いていきました。
比べるより、今の息子を見ればいい
その背中を見送りながら、小学校時代のことを思い出しました。
受験するのか、どこの学校へ行くのか。あのころは、そんな話を聞くたびに、自分たちの選択まで誰かと比べられているような気持ちになることがありました。
でも今、息子は自分で選んだ学校へ毎日楽しそうに通っています。
ひと段落すると、隣のお母さんが笑いかけてきました。
「今度の試合、また一緒に見ましょうね」
「ぜひ。私、また声出しすぎるかもしれないけど」
「大丈夫。私も同じだから」
二人で笑いました。
進んだ学校が違っても、それぞれの子どもには、それぞれの毎日があります。
誰かと比べるより、目の前の息子が楽しそうに過ごしていることを見ていればいい。そう思えた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














