「子どものお小遣いにまで手を出すなんて」貯金箱からお札が消える日々。翌朝、父の財布から見つかった千円札の秘密
貯金箱から消えていくお小遣い
小学生のころ、私はもらったお小遣いを、ぶたの貯金箱に少しずつためていました。
寝る前にふたを開けて、中のお金を確かめるのが毎晩の楽しみでした。
ところが、ある時から、お札がときどきなくなるようになったのです。
「あれ?ここに入れておいたはずなのに…」
自分で使った覚えはありません。何度確かめても、確かにあったはずのお札が減っています。
不思議で仕方がなかった私は、ある夜、貯金箱を抱えて居間にいた母に相談しました。
「お母さん、あのね。貯金箱のお金がなくなってるの。ちゃんとためてたのに…」
母は驚いた顔をしましたが、すぐに表情が曇りました。
実は母も、夜のうちに財布からお金がなくなることがあり、気になっていたそうです。
母はしばらく考え込んだあと、台所で晩酌をしていた父のところへ向かいました。
「ねえ。子どものお小遣いにまで手を出すなんて、どういうこと?」
いつもとは違う母の厳しい声に、私は驚きました。
父はグラスを置き、何を言われたのか分からないという顔をしました。
「は?なに言ってんの。知らないって」
「私の財布からもお金がなくなってるのよ。本当に知らないの?」
「知らないよ。俺がそんなことするわけないだろ」
父は面倒くさそうに手を振ると、さらにこう言いました。
「この子がどこかでなくしたんじゃないの?」
「違うもん!ちゃんと入れてたよ!」
思わず言い返しましたが、父は取り合ってくれません。
自分のお金がなくなっただけでも悲しいのに、私のせいにされたことが悔しくてたまりませんでした。
父の財布から出てきた千円札
その夜、母は自分の財布から千円札を一枚取り出し、端に鉛筆で小さな印をつけていました。
私がそばからのぞき込むと、母は黙ってうなずき、そのお札を財布に戻しました。
そして翌朝。
いつものように朝食が並ぶ食卓で、母は父の向かいに座りました。私はその隣にいました。
食事の途中、母が突然口を開きました。
「ねえ、財布を出して」
「え?なんだよ、朝から」
「いいから、ちょっと見せて」
母の真剣な表情を見て、父はしぶしぶ財布を開きました。
母は中から千円札を一枚取り出すと、その端を指さしました。
そこには、昨夜つけた小さな鉛筆の印があったのです。
「これ、昨日の夜、私の財布に入れておいたお札よ。ここに印をつけたの、覚えてるから」
父は千円札を見つめたまま、黙り込んでしまいました。
「……どうして、あなたの財布に入ってるの?」
母が静かに尋ねても、父から返事はありません。
そのお札だけでは、私の貯金箱のお金まで父が持ち出したのかは分かりません。
それでも母は、はっきりと言いました。
「この子の分も、全部返して。毎月、あなたのお小遣いから返してもらうから」
父はしばらくうつむいていましたが、やがて小さな声で答えました。
「……返します」
昨日まで「知らない」と言い張っていた父が、ようやく返すと約束したのです。
その月から、父は毎月、自分のお小遣いから私の貯金箱へお金を戻すようになりました。
父がお金を入れて、黙って部屋を出ていくたびに、私は貯金箱を持ち上げて重さを確かめました。
少しずつ重くなっていく貯金箱。
お金が戻ってくることはもちろんうれしかったのですが、何より、母が私の話を信じてくれたことが心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














