tend Editorial Team

2026.07.02(Thu)

「学生時代モテモテだったとか」旧友の名を出した嫁の友人。家族も知らない過去を語り始めた瞬間

「学生時代モテモテだったとか」旧友の名を出した嫁の友人。家族も知らない過去を語り始めた瞬間

和やかなはずの午後

孫の保育園入園を機に、息子夫婦と二世帯で暮らし始めた。

その日、嫁のママ友が手土産を持って訪ねてきた。

「突然すみません。一度ご挨拶したくて」

礼儀正しい人だ。私は気をよくして茶をすすめ、しばらく和やかに話していた。ところが会話の流れで、彼女がふいにこう切り出した。

「お義父さん、△△高校のご出身ですよね?」

言った覚えのない母校を当てられ、私は戸惑った。

「ええ、合ってますが……なぜそれを?」

「私の元上司から、よくお名前を伺っていたんです」

その元上司というのが、私の高校時代からの親友だと知って、思わず姿勢を正した。

過去を匂わせる笑顔

「学生時代モテモテだったとか」

彼女は明るい声で、そう続けた。褒め言葉のはずなのに、笑顔の裏に何かを含んでいるように見えてしまう。

「もう何十年も前の話ですよ」

「ずいぶん羽目を外したこともあったって、楽しそうに話してくださいました」

胸の奥が、ひやりとした。

若い頃の遊びや、酒で失敗して朝帰りした夜のことは、家族の誰にも明かしていない。

同居を始めてからも、その手の話だけは慎重に避けてきたつもりだった。親友だけが知る、私の弱みだったはずだ。

「お酒は、今もたしなまれるんですか?」

「……ほどほどに、ですよ」

声がわずかに上ずった。彼女はそれを見透かすように、ゆっくりと茶を口に運ぶ。穏やかな所作のひとつひとつが、なぜか妙な圧をともなって迫ってきた。

読めない笑みの奥

「私、あの方と同じ名前なんですよ」

その一言の意味は分からない。

ただ、笑顔の奥でこちらの過去をどこまで握っているのか、まるで読めなかった。

(この人は、いったいどこまで聞いているんだ)

嫁の前で、立場のいい義父でいたい。

そんな私の足元を、彼女の柔らかな笑みが静かに揺さぶってくる。

「お孫さん、いつも元気にご挨拶してくれて。素敵なご家庭ですね」

「おかげさまで、なんとか……」

当たり障りなく返すのが精一杯だった。この人がいつ、どんな調子で嫁に話を切り出すか分からない。本人にその気がなくても、世間話のついでに一言こぼされれば、それで終わりだ。

考えるだけで、背筋に冷たいものが走った。

「また、寄らせてくださいね」

帰り際まで、彼女は終始にこやかだった。その表情が読めないぶん、得体の知れない不安だけが部屋に残る。

ドアが閉まる音を聞きながら、私は深く息を吐いた。

それからも彼女は、時折わが家に顔を出す。そのたびに私は平静を装いながら、ただ祈っている。どうか、家族には伏せておいてくれと。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.05(Mon)

「えー、かわいい!これ着る!」買い物に失敗したと思った母。数年後、娘を見て笑った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「昨日のは、なんていう曲?」隣のお風呂の歌声を気にしていた私。だが、ママ友の一言で固まった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「Mなら余裕だよ」とサイズ表を見なかった私。だが、届いたジャケットを長男が着て分かった勘違い
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.22(Wed)

井川意高氏「日本人として終わってます」とホリエモンを批判。『水源』めぐる意見対立か。SNSではホリエモンに対し「彼は補助...
tend Editorial Team

2026.09.02(Wed)

「洗濯物、少なくなったね」挨拶する程度の近所の住人。だが、私が少しずつ距離を置いた理由
tend Editorial Team

2025.10.29(Wed)

ひろゆき「自衛隊でもなんでも使えば良い」と相次ぐクマ被害に言及。SNSでは「誰でもいいから助けて欲しい」の声も
tend Editorial Team