「毎月5万、渡す必要があるのか」財布は別々だと言い張った夫。パートに戻った妻が見せたものに頭を下げた
別の財布を盾にした夫
結婚以来、我が家の家計はずっと別々だった。
それぞれの稼ぎはそれぞれのもの、生活費は折半。
夫はこのルールを、何より大切にしていた。
正社員だった私が、仕事の重さに耐えかねて「もう限界かもしれない」とこぼした夜、夫は「無理なら辞めればいい、俺の稼ぎで暮らせる」と言った。
その言葉に背中を押され、私は職を離れた。
けれど、収入が途絶えた私に、夫は生活費を分けようとしなかった。
それどころか、私が控えめに援助を頼むと、こう言い返してきたのだ。
「渡している生活費、毎月5万、渡す必要があるのか」
財布は別々なのだから、自分の分は自分で、というのが夫の理屈だった。
辞めろと言ったのは夫なのに、その責任はすっぽりと抜け落ちている。
私は貯金を切り崩しながら、日々の食費をやりくりするしかなかった。
レシートが崩した理屈
やがて貯金も心細くなり、私はパートとして働きに出た。
朝から立ち仕事をこなし、疲れた足で帰ってスーパーの特売を回る毎日。それでも夫は、我関せずといった顔だった。
同じ屋根の下で暮らしているのに、家計だけは他人のようにきっちり線を引く。その割り切りが、私にはどうしても腑に落ちなかった。
このままではいけない。
私は財布に残るレシートを、一枚残らず捨てずにためていくことにした。
自分だけで払った食費や日用品の記録を、月ごとに封筒へ分けていったのだ。
レシートには、暮らしのやりくりがそのまま刻まれていた。
特売の卵、値引きシールの総菜、切らせない米や調味料。
どれも私が一人で選び、一人で払ったものだ。数字の一つひとつが、半年の頑張りの証だった。
半年ほど経ったころ、私はその封筒の束を食卓に置いた。中から、たまりにたまったレシートがあふれ出す。
「これ、全部この家のために私が払ったもの。私が仕事を辞めてから、この半年間の食費や日用品代を、あなたは一度も出していないよね」
夫はレシートを一枚ずつ手に取り、日付と金額を追ううちに言葉を失っていった。
合計を口に出して数えたとき、その額の大きさに顔がこわばる。
「毎月5万」を惜しんだ自分が、いかに勝手だったかを突きつけられたのだ。
「辞めていいと言ったのはあなた。なら、その間の暮らしを支えるのが当たり前でしょう」
積み上がったレシートの前で、夫はしばらくうなだれていた。そして、ゆっくりと頭を下げた。
「……ごめん。ここまで一人で背負わせていたなんて、思ってもみなかった」
その日から、夫は生活費をきちんと分担するようになった。パートの給料日には「無理してないか」と気遣う言葉まで口にする。
目に見える一枚一枚のレシートが、別財布という盾よりも、ずっと重い事実を語ってくれたのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














