tend Editorial Team

2026.08.19(Wed)

「洗剤の匂いが、部屋にこもって消えない」隣の家から流れてきた強い匂い。伝え方に悩んだ私の葛藤

「洗剤の匂いが、部屋にこもって消えない」隣の家から流れてきた強い匂い。伝え方に悩んだ私の葛藤

部屋から出ていかない匂い

梅雨の夜は、日が落ちると気温が下がる。

冷房を入れるほどでもなく、私は窓を細く開けたまま眠るのが好きだった。湿った風が入ってくるだけで、寝つきがまるで違う。

その習慣が少し苦しくなったのは、この一、二か月のことだ。

朝6時ごろ、隣の家から洗濯の匂いが流れてくるようになった。

「洗剤の匂いが、部屋にこもって消えない」

甘い、作りものの花のような香り。開けた窓から静かに入ってきて、いったん部屋に落ち着いてしまうと、なかなか出ていかない。

窓を閉めても、昼を過ぎても、壁のあたりに薄く残っている。

洗濯物を部屋干ししていると、自分の服にまで同じ香りが移った気がして、何度も襟元をたしかめてしまう。

気のせいだと思いたいのに、確かめずにいられない。

私はもともと匂いに敏感な体質で、人工的な香りが長く続くと頭が重くなる。朝食のあいだもずっと匂っているので、味がよく分からない日もある。

「今日は少し軽いかもしれない」

そんなふうに、風向きに一喜一憂している自分がおかしくなる。相手の家の洗濯物ひとつで、朝の機嫌が決まってしまうなんて。

穏やかな言い方を、まだ見つけられない

困っているのに、自分にできることがほとんどない。

それがいちばんもどかしかった。窓を閉めるか、開けるか。私の側の選択肢はそれだけで、あとはすべて相手次第になってしまう。

「洗剤の匂いが少し強くて、と伝えたら失礼だろうか」

何度も文章を考えた。言葉を選び直すたびに、どこかに棘が残る。柔らかく言おうとすればするほど、遠回しで嫌味っぽくなる。

はっきり言えば、暮らし方を否定することになる。

「気にしすぎなのかもしれない」

そう思って何日かやり過ごしてみたけれど、体のほうは正直で、匂いの強い朝は昼まで頭が重い。我慢で片づく話ではなかった。

「そもそも、悪いのは向こうじゃない」

隣の家は、朝早く起きて洗濯機を回しているだけだ。

誰にも迷惑をかけているつもりはないだろうし、実際、迷惑だと感じているのは私ひとりかもしれない。

責める理由がどこにもない相手に、どう切り出せばいいのか分からなかった。

「おはようございます。あの、少しだけ」

顔を合わせたときのために用意した出だしは、まだ一度も使えていない。

あいさつのあとに続く言葉が、どうしても出てこない。

口の中で何度か転がして、そのまま飲み込んでしまう。

今朝も6時前に目が覚めて、窓を閉めた。そのあと風が涼しくなっても、もう一度開ける気にはなれなかった。

誰も悪くない話は、たぶんいちばん、終わらせ方が難しい。

※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.05(Mon)

「えー、かわいい!これ着る!」買い物に失敗したと思った母。数年後、娘を見て笑った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「昨日のは、なんていう曲?」隣のお風呂の歌声を気にしていた私。だが、ママ友の一言で固まった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「Mなら余裕だよ」とサイズ表を見なかった私。だが、届いたジャケットを長男が着て分かった勘違い
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.08.01(Sat)

「香典のことは、私に任せてちょうだい」10年間顔を見せなかった義姉。だが、父の通夜で見せた一面に絶句
tend Editorial Team

2026.07.17(Fri)

「週5で働いて、子供が心配じゃないの?」働く母を見下し続けたママ友。だが、必要なとき以外は距離を置いた
tend Editorial Team

2026.07.22(Wed)

「これから3件、主人の接待なのよ」自分本位なママ友。だが、別のママ友の一言に絶句
tend Editorial Team