好きな人に廊下で苗字を呼ばれた私。満面の笑みで「何か用?」と近づいて気づいた勘違い
呼ばれるたび、何人も振り向く苗字
高校生のころ、私がいた3組には、同じ苗字の女子が何人もいました。
先生が苗字だけで呼ぶと、何人かが同時に顔を上げることもあります。
「あ、ごめん。廊下側の人ね」
先生がそう付け足すと、ほかの子たちは「あ、違った」と笑いながら座り直します。
となりの席の友人は、そのたびに小声で言いました。
「今日はハズレだったね」
当時、私には別のクラスに好きな男子がいました。
友人もそれを知っていて、廊下で彼とすれ違うたび、ひじで私をつついてきます。
そんなある日の昼休み。
友人と二人で廊下を歩いていると、私たちのすぐ後ろには、同じ3組で、私と同じ苗字の女子が歩いていました。
すると少し離れた後ろから、聞き覚えのある声で私の苗字が呼ばれたのです。
友人がぱっと私を見ました。
「今の、あの人じゃない?」
「うん…絶対そう!」
好きな人が、わざわざ私を呼び止めている。
その瞬間の私は、なぜかそう思い込んでいました。
満面の笑みで振り返った、その先に
私は思わず笑顔になり、勢いよく振り返りました。
そして彼のほうへ少し戻りながら、弾んだ声で聞いたのです。
「え、私?何か用?」
友人によると、そのときの私は、見ているほうが恥ずかしくなるくらいの満面の笑みだったそうです。
ところが彼は私を見ると、少し困ったような顔をしました。
「あ…いや」
そのまま私の横を通り過ぎ、足を止めたのは、すぐ後ろにいた同じ苗字の女子の前でした。
「これ、先生から預かったプリント」
「あ、ありがとう」
そこでようやく、私はすべてを理解しました。
呼ばれていたのは、私ではなかったのです。
さっきまで浮かべていた笑顔を引っ込めることもできず、その場で固まってしまいました。
すると友人が私の横まで来て、肩にぽんと手を置きます。
「…今の笑顔、もったいなかったね」
私は小さな声で返しました。
「……そうだ。あの子も同じ苗字だった」
友人はこらえきれずに吹き出しました。
大学生になった今でも、思い出すと恥ずかしくなる出来事です。それ以来、苗字を呼ばれても、すぐには振り返らず「本当に私?」と相手の目線を確認するようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














