「今月だけって、毎回言われるの」母に10年間お金を渡し続けていた姉。妹が知った断れなかった理由とその後
玄関先で、義兄に呼び止められた
姉の家へ用事があって立ち寄った日のことです。玄関で靴を脱ごうとしたところ、義兄に小さな声で呼び止められました。
「お母さんへのお金のこと、知ってますか」
何のことか分からず聞き返すと、義兄は少し言いにくそうに続けました。
「情にほだされて、もう10年くらい渡し続けてるんです。頼まれると断れないみたいで」
そんな話は、姉から一度も聞いたことがありませんでした。
居間へ入ってから姉に尋ねると、しばらく黙ったあと、「やっぱり聞いたんだ」と苦笑しました。
「今月だけって、毎回言われるの。断ると連絡が来なくなることもあって」
そう言って、姉は棚から一つの封筒を出しました。中には、母へ振り込んだときの明細が何枚も入っていました。
「こんなに長く?」
「出しちゃうんだよ。親だから」
姉から話を聞くと、母は年金だけでは出費を賄えない月があり、そのたびに姉へ相談していたそうです。姉も最初は一時的なつもりだったものの、それがいつの間にか続いていました。
一人で抱えない方法を決めた
明細を見ながら話しているうちに、私は以前、姉が旅行を見送ったり、車の買い替えを先延ばしにしたりしていたことを思い出しました。
もちろん、それがすべて母への援助のせいだったとは言えません。
ただ、姉の生活に負担が出ていることは分かりました。
母を助けること自体をやめたいわけではありません。けれど、一人だけが頼まれ続ける形は変えたほうがいいと思いました。
「これからは、姉ちゃん一人で出さないようにしよう」
「じゃあ、どうする?」
「私も出す。ただし、毎回言われた額をそのまま渡すんじゃなくて、二人で決めよう」
私たちは、母への援助用にお金を分けて管理することにしました。負担額は同じにはせず、そのときの収入に合わせて二人で決めます。
医療費や光熱費など、生活に必要な不足分はそこから出す。それ以外の相談は、いったん姉妹で話してから返事をする。月末には、いくら使ったかも確認することにしました。
「足りないときは、二人で『ここまでしか出せない』って言おう」
姉は少し考えてから、うなずきました。
母への返事も、二人でそろえた
数日後、母から私にも電話がありました。
「あのね、今月もちょっとだけ足りなくて」
以前なら姉だけが受けていた相談です。
「分かった。姉ちゃんとも相談して、決めた分から出すね」
母は一瞬黙りましたが、「そうなのね」と返しました。
姉にも同じような連絡があったそうですが、二人とも同じ説明をしました。すぐに母からの相談がなくなったわけではありません。それでも、姉だけに何度も電話がいくことは少しずつ減っていきました。
翌月、姉と家計の記録を確認すると、母へ渡した金額の横に、私と姉がそれぞれ負担した額が書かれていました。
十年間続いた援助が、一度の話し合いですべて解決したわけではありません。ただ、「姉が一人で断れずに出す」という形を終わらせられたことは、私たち姉妹にとって大きな変化でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














