仕事を押し付ける上司
入社4年目。
私には後輩もでき、仕事の全体像が見えてきた中堅世代。
きっかけは、部署内で起きた小さなトラブル。
原因はいくつも重なっていたはずなのに、上司は私のデスクへやってくると、軽い調子で言い放ちました。
「例の件、君が一番詳しいよね。悪いけど、いい感じに対応しておいてよ」
その案件は、そもそも私に共有されていない情報だらけ。
誰が担当したとしても、混乱するのは目に見えています。
「あの、これ……。事前の情報共有が漏れていた部分が多いのですが」
食い下がろうとした私の言葉を、上司は遮ります。
「まあ、君ならうまくやれるでしょ。頼んだよ!」
すぐ隣では後輩がこちらの様子を伺っている状況。
ここで「できません」と突き放すこともできず、私は結局「……わかりました」と引き受けるしかありませんでした。
それからは、まさに火消し作業の連続。
あちこちの部署に連絡を入れて状況を整理し、なんとかその場を収めたときには、もう夜。
どっと押し寄せる疲労感。
上司の呆れた一言
ようやく一段落した私に、上司がかけたのはこんな言葉でした。
「お疲れ。また似たようなことがあったら、次からもよろしくね」
期待していた「助かったよ」の一言はなし。
それどころか、当たり前のように「次」の役割まで押し付けられてしまったのです。
(これって、自分だけが背負うべきことなのかな……)
帰り道、電車の窓に映った自分の顔は、驚くほど疲れ切っていました。
周りのために頑張りたい。
その気持ちに嘘はないけれど、それが「当たり前」として消費されるのはもう限界。
翌朝、私はいつも通りデスクに座りましたが、昨日までとは少しだけ心持ちが違いました。
また上司がふらっとやってきて、「これもお願い」と無茶な依頼を差し出してきた、その瞬間。
「もちろんです。ただ、その前に一ついいですか?」
私は努めて穏やかに、でも真っ直ぐ上司の目を見て伝えました。
「今後も私が責任を持って対応するために、まずは情報の共有フローを見直させてください。今のままだと、無駄な火消しに時間を取られて、本来の業務の質が落ちてしまいます。チーム全体の評価にも関わりますから」
上司は一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしましたが、後輩たちも「あ、それ僕らも困ってました」と加勢してくれたことで、ぐうの音も出ない様子。
「あ、ああ……そうだな。確かに効率が悪いのは問題だ。改善策を考えてくれるか?」
上司の少し慌てた返事に、心の中のわだかまりが、すーっと消えていくのを感じました。
「都合のいい人」を卒業するのは、わがままになることじゃない。
自分の価値を守り、チームを良くするための「前向きな一歩」なんだ。
帰り道の夜風が、昨日よりもずっと心地よく感じられました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














