出典:河原 由次X(@i_am_kawa_chan)
実業家の問いかけから考える飲食店でのマナーと現代人の合理主義
飲食店を訪れた際、店を出る間際に「ごちそうさま」や「おいしかったです」と言葉を添える光景は、日本の日常においてごく自然な振る舞いとして定着してきました。しかし、この当たり前と思われてきた習慣に対し、ある実業家がSNSで疑問を呈したことが大きな議論を呼んでいます。
ネクストレベルホールディングスの代表取締役を務める河原由次氏が、自身のSNSにてランチでの出来事をきっかけに私見を投稿しました。河原氏は、店を出る際に客が店側に感謝を伝える様子を目の当たりにし、自分たちは店にご馳走してもらったわけではなく、正当な代金を支払っていると指摘。むしろ店側こそが「食べに来てくれてありがとう」と言うべきではないか、という持論を展開したのです。
この投稿は瞬く間に拡散され、ネット上では伝統的な道徳観と現代的な契約意識がぶつかり合う事態となりました。SNSに寄せられた反応を見てみると、その温度差が浮き彫りになります。
『いただいた命に対しての感謝の言葉だと思います』
『お金を払っているから対等。過剰なサービスを求めるわけではないが、客がへりくだる必要もない』
『美味しかったから、その気持ちを伝えているだけ。損得勘定ではない』
『店員さんも人間。一言あるだけでお互い気持ちよく仕事ができるのでは』
河原氏は、食材そのものに対しては「いただきます」と感謝しているとした上で、店舗というビジネスの場における過剰な礼節に違和感を覚えているようです。確かに、ビジネスの原則に照らせば「サービスと対価」は等価交換であり、どちらかが一方的に頭を下げる構造ではないという見方も一理あります。
しかし、多くの日本人が「ごちそうさま」という言葉に込めているのは、単なる儀礼的な挨拶以上の意味ではないでしょうか。それは調理した人、運んだ人、そしてその場を提供した人への「敬意の表明」です。効率や合理性が最優先される現代社会において、あえて無駄とも取れる一言を添える余裕こそが、社会の潤滑油になっている側面は否定できません。
一方で、接客業に従事する人々の中には、客からの過度な「神様扱い」を求める風潮に疲れ果てているケースも散見されます。今回の実業家の発言は、そうした歪な上下関係をフラットに戻したいという意図もあったのかもしれません。
時代と共に価値観がアップデートされるのは世の常ですが、言葉の裏にある「真心」までをもコストカットの対象にしてしまうのは、少し寂しい気がしてなりません。














