「こんなに高いのに?」雑貨店で値下げを要求し続けた女性客。だが、先輩が棚の前で見せた値札に、態度が一変
値下げを迫られた昼の売り場
以前、私が雑貨店で接客をしていたときのことです。
昼過ぎの売り場で商品を整理していると、台所用品を手にした女性客が近づいてきました。
女性客は私の目の前に商品を差し出すと、不満そうな顔で言いました。
「ねえ、これ、ちょっと高すぎない?」
「こちらは丈夫なつくりで、長くお使いいただける商品でして…」
私が説明しようとすると、女性客は大きくため息をつきました。
「いや、そういう話じゃないの。もう少し安くならないの?」
「申し訳ありません。こちらの商品は、お値下げできないんです」
そう伝えると、女性客の表情が険しくなりました。
「ええ?こんなに高いのに? ちょっとくらい安くしてくれてもいいじゃない」
「でも、お値段は決まっておりますので……」
「だから、そこを何とかしてって言ってるのよ。黙ってたらこっちが損するじゃない!」
女性客の声はだんだん大きくなり、近くで買い物をしていたお客様たちも、ちらちらとこちらを見始めました。
私はどう対応すればいいのか分からず、謝ることしかできませんでした。
何を言っても納得してもらえそうになく、困り果てていたときです。
先輩が指さした、もう一つの値札
売り場の奥から先輩がやってきて、私の隣に立ちました。
「お値段のことですね。申し訳ありません。一度、売り場の表示を確認させてください」
先輩は落ち着いた声でそう言うと、女性客と一緒に商品が並んでいた棚へ向かいました。
私も少し後ろから、二人の様子を見守っていました。
棚の前に着くと、先輩は並んでいる値札の一つを指さしました。
「こちらはお隣の商品の値札でございます」
「……え?」
女性客が目を丸くすると、先輩はその隣にある値札へ指を移しました。
「お客様がお持ちの商品はこちらのお値段です。先ほどのものより、お安くなっております」
どうやら女性客は、隣の商品についていた高い値札を、自分が手にしている商品の値段だと思っていたようでした。
「えっ、こっちなの?」
「はい。こちらのお値段でございます」
女性客は手元の商品と二つの値札を何度も見比べました。
「……あ、そう。そうなのね」
先ほどまでの強い口調はすっかり消えていました。
「お会計は、あちらのレジで承りますね」
先輩が穏やかに案内すると、女性客は小さくうなずきました。
そして、それ以上何も言わず、商品を抱えて足早にレジへ向かっていったのです。
周囲で様子をうかがっていたお客様たちも、何事もなかったように買い物へ戻っていきました。
先輩は棚の商品を整え直すと、私のほうを振り返りました。
「さ、続きやろっか」
いつもと変わらない声に、私はようやく肩の力が抜けました。
私も最初に値札を確認していれば、あそこまで話がこじれずに済んだのかもしれません。
女性客を責めることなく、落ち着いて事実を確認した先輩の対応が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














