「ないものはないんだよ!」会計で揉めている客。だが、店長がスタッフと対応を変わった結果
怒鳴られても、若い店員は言い返さなかった
ファミレスで食事をしていたとき、レジのほうから大きな声が聞こえてきました。レジに近い席にいた私からは、男性客と若い店員のやりとりが見えます。
どうやら会計の金額に対して、男性の手持ちが少し足りなかったようです。
「これくらい、まけてくれたっていいだろ」
男性がそう言うと、店員は困った表情を浮かべながらも、「申し訳ありません」と断っていました。
すると男性の声が急に大きくなりました。
「足りないぶんくらい、レジで何とかしろよ。ないものはないんだよ!」
それまで聞こえていた周囲の話し声が途切れ、何人かの客がレジへ顔を向けます。
若い店員は言い返しませんでした。ただ、同じように「申し訳ありません」と伝えています。
男性はしばらく不満そうにしていましたが、やがて伝票をレジ横に置きました。
「ちょっと待ってろ」
そう言い残して、店の外へ出ていきました。
ほどなくして、奥から店長らしい年配の男性が出てきました。騒ぎに気づいて様子を確認しに来たようです。
店長は若い店員に何かを小声で確認したあと、こう言いました。
「次のお客様をお願いします。戻られたら私が対応します」
店員は小さくうなずき、待っていた客に頭を下げて、次の会計を始めました。
店長が差し出したのは、いつもの受け皿だった
数分後、先ほどの男性が戻ってきました。手には何枚もの硬貨を握っています。
男性はそのままレジへ近づき、握った硬貨をカウンターのほうへ差し出しました。
すると、待っていた店長が一歩前へ出ます。
店長が男性の手元へ静かに差し出したのは、会計で使ういつもの受け皿でした。
「レジの受け皿へお願いします。お預かりします」
声を荒らげることも、先ほどの態度を責めることもありません。
男性は一瞬手を止めました。それから周囲へ目を向け、少し間を置いて、握っていた硬貨を受け皿へ置きました。
店長は何事もなかったように硬貨を寄せ、一枚ずつ数えていきます。その手つきは、ほかの客を会計するときとまったく変わりませんでした。
「ちょうどお預かりします」
店長がレシートを差し出すと、男性は何も言わずに受け取り、そのまま店を出ていきました。
男性の姿が見えなくなると、止まっていたような店内の空気も少しずつ元に戻っていきました。
店長は若い店員に短く声をかけると、再び通常の会計へ戻ります。若い店員も「次にお待ちのお客様、どうぞ」といつもの調子で案内していました。
相手の勢いに合わせて声を荒らげるのではなく、必要なことだけを伝えて、いつもどおり対応する。店長の落ち着いた姿を見ながら、私はすっかりぬるくなったコーヒーを口に運びました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














