「あれ、煙じゃない?」実家から上がった濃い煙。近所の人が心配で見に来たら笑い話になったワケ
坂の上の実家から、煙が立ち上っていた
私がまだ小学生だったころの話です。坂の上の角地に私の実家があり、隣には二軒の家、裏手には畑が広がっていました。
父はときどき、庭や畑にたまった落ち葉を裏庭で燃やして片づけていました。家の正面からは見えにくい場所だったこともあり、父自身はそれほど気にしていなかったのだと思います。
ある秋の午後、私は坂の下で遊んでいました。すると、近所の人たちが実家のほうを見上げながらざわつき始めました。
「あれ、煙じゃない?」
振り返ると、実家の屋根の向こうから濃い煙が上がっています。坂の下からでは裏庭の様子までは見えず、煙だけを見ると、何かに火がついたようにも見えました。
「ちょっと見てくる。誰か家にいるよね?」
一人が坂を上り始めると、心配した何人かも後を追いました。私も急に不安になり、一緒になって家まで走りました。
「みんな火事だと思ってるよ!」
裏庭へ回ると、父は置いてあった金属製の容器のそばで、落ち葉を燃やしていました。
「お父さん、みんな火事だと思ってるよ!」
私が声を上げたところへ、近所の人も息を切らしてやってきました。
父は驚いた顔で立ち上がり、すぐに頭を下げました。
「落ち葉を燃やしていただけです。すみません、煙がこんなに見えているとは思わなくて」
近所の人は火元を確かめると、大きく息を吐きました。
「ああ、よかった。下から見たら、本当に火事かと思ったのよ」
その言葉に、後から来た人たちもほっとしたように顔を見合わせました。怒るというより、無事だった安心のほうが大きかったようです。
「でも、煙がすごい日はびっくりするから、気をつけてね」
父も「本当にすみません」ともう一度謝り、その日はすぐに火の始末をしました。
今では家族の笑い話になっている
その後、近所の人と顔を合わせると、「あのときは火事かと思って走ったわ」と笑いながら言われることがありました。
父もそのたびに、「あれは悪かったな」と少し照れくさそうに笑っていました。
当時の私は、近所の人たちが突然坂を駆け上がっていく姿が怖くて仕方ありませんでした。それでも今振り返ると、それだけ本気で心配して来てくれたのだと思います。
煙を見るたびに思い出す、わが家では今も語られている出来事です。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














