
行列のできる定食店で、店員が放った「お子さんを起こして」という一言。回転率を重視する店舗と子連れ客の溝
せっかくの家族での外食が、店員の一言で苦い思い出に変わってしまう。そんな光景がSNS上で波紋を広げました。事の発端は、都内の行列ができる定食店を訪れた4人家族の投稿です。長時間待った末に、3歳の子供がベビーカーで眠ってしまったところ、店員から一人一食の決まりがあることを理由に「お子さんを起こして食べさせてください」と告げられたという内容でした。
このエピソードに対し、SNS上では『寝ている子を起こせというのはあまりに不親切』といった批判が相次ぎました。一方で、経営の観点から見れば、限られた席数で回転率を重視せざるを得ない人気店の事情も透けて見えます。特に都心の店舗では、高騰する地価や人件費を賄うため、一息つく暇もないほど客を回し続けなければ成り立たない現実があるのです。
ネット上では、このトラブルをきっかけに、子連れ外食のあり方についても厳しい意見が飛び交いました。
『行列店にベビーカーで行くのは親のエゴ。サッと食べて去る大人で回さないと店が詰まってしまう』
『子供の成長に合わせて店を選ぶべき。他人の視線を浴びながら食べても楽しくない』
といった、店側の事情を察する声も目立ちます。
かつては「お客様は神様」という意識が強く、店舗側も過剰なほどの手厚いサービスを提供することが当たり前とされてきました。しかし、物価高や働き手不足が深刻化する昨今、多くの飲食店はサービス料を取らずに高いホスピタリティを維持することに限界を感じています。
『飲食店は躾の成果を確認する場。周りに迷惑をかける不安があるなら控えるのがかつての常識だった』
という指摘があるように、昭和の時代に見られた「客の棲み分け」や、店と客の「阿吽の呼吸」が失われつつある現代。効率を追求する店側と、配慮を求める客側の溝は深まるばかりです。
もちろん、幼い子供を育てる世帯を社会全体で温かく見守る姿勢は不可欠です。しかし、無理な入店が結果として子供に我慢を強いるのであれば、それは本末転倒と言えるかもしれません。
今の時代、飲食店に多くを求めすぎず、互いの立ち位置を尊重し合う「新しい距離感」が求められているのではないでしょうか。














