「これ、誰なの?」彼のクローゼットから出てきたへその緒と家族写真。だが、問い詰めた彼の信じられない態度に絶句
桐の小箱
結婚前提で付き合っていた彼の家に、初めて泊まった夜だった。
寒くて、上着を取ろうとクローゼットを開けた。
奥のほうに、見慣れない桐の小箱があった。何気なく蓋を開けて、息が止まった。
中身は、へその緒。
一緒に挟まれていたのは、知らない女性と小さな子どもと写る、彼の家族写真だった。
三人は、休日の公園のような場所で笑っていた。
私が知っている彼の優しさは、本当はこの家族に向けられていたものなのだと、写真がそう告げていた。
「これ、誰なの?」
戻ってきた彼に写真を見せると、彼はしばらく黙ってから、低い声でこう言った。
「勝手に人の物、漁るなよ」
脅しの言葉
「漁ってない。たまたま見つけたの。あなた、結婚してるんでしょう」
「結婚してたら、何か問題でもあるのかよ!」
その開き直りに、全身が冷たくなった。
優しかったはずの彼の顔が、まるで知らない男のものに見えた。
「無理。もう、別れる」
「…言いふらされたくないだろ」
彼は私の弱みを口にして、にやりと笑った。
交際中に話した私の事情を、すべて会社にバラすという脅しだった。
「お前が黙ってれば、何も起きない。それでいいだろ」
(この人と関わったら、一生終わらない)
怖かった。
でも、ここで折れたら駄目だと、心のどこかが叫んでいた。
「少し、考えさせて」
私は震える声でそう返し、その場を離れた。
突き合わせた証拠
翌日、私は警察と弁護士に相談した。
家族写真も、交際の記録も残っていた。
一つずつ、証拠を突き合わせていく。
怖さがなかったわけではない。それでも、ここで泣き寝入りしたら、この男は次の誰かにも同じことをする。
そう考えたら、不思議と手の震えが止まった。
後日、弁護士同席のもとで彼と対面した。
弁護士が、既婚を隠した交際と脅迫の事実を、順番に読み上げた。
すべて記録に残っていると告げた瞬間、彼の腕がほどけた。
「ま、待って。話せばわかる」
強気の声が、みるみる細くなっていく。
「あなたこそ、会社に知られて困るのではありませんか」
その一言で、彼の顔から、すっと血の気が引いた。
さっきまでの薄笑いは、どこにもない。何か言いかけては飲み込み、最後はうつむいたまま固まった。
「……慰謝料を、払います」
私を脅した男は、震える手で書類にサインをした。
あとで知ったが、彼は勤め先も失ったらしい。
「きちんと終わらせられて、ほっとしました」
帰り際、彼はもう私の顔を見られなかった。脅す立場だったはずの男が、ただ小さくなって座っているだけだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














