「会社の備品を置いてるだけ」と言う夫。しかし、開けた物置に義母の古い服とアルバムが入っていたワケ
触らせてもらえなかった物置
新居に引っ越してすぐ、夫は庭の物置にだけは妙にこだわった。
何が入っているのか聞いても、決まって同じ答えが返ってくる。
「会社の備品を置いてるだけ」
「備品って、そんなに量あるの?」
「いいから、あそこは開けなくていいから」
言い方がいつもより硬くて、私はそれ以上踏み込めなかった。それから半年、私はその物置を一度も開けないまま過ごした。きっかけは、ほんの偶然だった。掃除のついでに扉に手をかけると、鍵がかかっていない。中を覗いた私は、思わず息をのんだ。
几帳面に保管された義母の私物
並んでいたのは、会社の備品などではなかった。義母の古い婦人服、年代物の食器、表紙の擦れたアルバム。
どれも埃ひとつなく、防虫剤の匂いまで漂っている。誰かが定期的に手入れをしている、そんな几帳面さだった。
一枚一枚めくられた跡のあるアルバムを見たとき、誰かがここに通って眺めているのだと察して、思わず手が止まった。
夜、帰ってきた夫に写真を見せて尋ねると、悪びれる様子もなかった。
「母さんの大事な物だから、うちで預かってるんだよ」
「預かるのはいいけど、私には会社の備品って嘘ついたよね?」
「嘘ってほどじゃない。言ったら反対するだろ」
その理屈に、かっと頭が熱くなった。
「ここは私達の家だよ!!」
夫は口を真一文字に結んで黙り込んだ。けれど、その沈黙は反省ではなく、頑なな抵抗に見えた。これは二人でぶつかっても答えは出ない。私は義母本人に来てもらうしかないと思った。
夫が最後に選んだ答え
休日、義母を招いて物置を開けた。事情を聞いた義母の反応は、夫の必死さとは正反対だった。
「これ、まだあったの? とっくに処分したと思ってたわ」
「母さんが大事にしてると思って……」
「いらないいらない。あなたが置きっぱなしにしてただけじゃない」
義母はそう笑って、その場でほとんどの荷物を処分すると決めてしまった。
守ろうとしていた当の本人が、こんなにあっさり手放すとは思っていなかったのだろう。夫は反論する言葉をなくして、肩を落としていた。義母にまで「過保護ねえ」と苦笑され、ばつが悪そうに目を伏せる。
「……分かったよ。俺が抱え込みすぎてた」
ようやく出てきたのは、その一言だった。後日、夫は休みの日に自分から物置を片付け、空いた棚に私たちの工具や防災用品を並べ直した。誰の家で、誰の物を置く場所なのか。夫がやっと自分の足で答えを選び直した週末だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














