「専業主婦のくせに逃げるの?」PTA役員を押し付けたママ。だが、私の反論で黙り込んだワケ
押し付けられた名指し
小学校のPTA役員を決める集まりは、いつも空気が重い。
その年もなり手はおらず、誰もが下を向いて、自分が指されないことだけを祈っていた。
進行役が「どなたか……」と声をかけても、返ってくるのは沈黙だけだった。
役員の仕事が大変なのは、みんな分かっている。
だからこそ、誰も自分から手を挙げない。重い空気だけが、じわじわと教室に溜まっていった。
長い沈黙のあと、毎年場を仕切るボスママが私の名前を口にした。
去年は下の子が小さくて免除だったのだから、今年こそやるべきだ、という理屈だった。
「専業主婦のくせに逃げるの?」
クラス全員が見ている前で、彼女はそう言い切った。
時間に余裕のある人間が当然やるべきだと、私を逃げ腰の人間に仕立て上げていく。
周りのママは気まずそうに目を伏せ、誰も助け舟を出さない。
この場で押し切ってしまおうという、彼女の計算が透けて見えた。
ざわめいた教室
私はあらかじめ読み込んでおいたPTAの規約を、静かに膝の上で開いた。
指名されるかもしれないと感じて、前の晩に目を通しておいたのだ。
「規約読みました?」
声を荒らげず、ただ事実だけを置く。免除の条件が記された一行を、指でなぞりながら読み上げた。
「未就学児がいる家庭は免除、とあります。うちはまだ手続き中で、私は来年復職する予定です。専業主婦かどうかで個人を名指しするのはやめてくれませんか?」
その瞬間、教室がざわめいた。
あちこちで小さな声が交わされ、視線がボスママへ集まっていく。
空気の流れが、はっきりと変わったのが分かった。
「雰囲気で押し付けるものではないと思います」
私が落ち着いてそう言い添えると、うなずく保護者が一人、また一人と増えていった。
ボスママは何か反論しようと口を動かしたが、声にはならなかった。
「公平にくじで決めませんか。そのほうが、誰も恨みっこなしですから」
私がそう提案すると、周りのママたちが次々と賛成した。
結局その年の役員は、くじ引きで決まった。私を名指しした声は、最後まで二度と上がらなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














