tend Editorial Team

2026.07.08(Wed)

「男の人なのに、家事を手伝って偉いわねえ」父だけ褒め続ける親戚。だが、娘の言葉に救われた瞬間

「男の人なのに、家事を手伝って偉いわねえ」父だけ褒め続ける親戚。だが、娘の言葉に救われた瞬間

母だけが二役を担っていた家

共働きの両親のもとで、私は育った。

父も母も、同じようにフルタイムで働いていた。

それなのに、家の中の景色はまるで違った。父が受け持つ家事は、洗濯だけ。

母が、それ以外のすべてを担っていた。

朝は誰より早く起きてお弁当を作り、夜は仕事から帰ってすぐ台所に立つ。

掃除も、買い出しも、私たちの送り迎えも、家計のやりくりも、全部母だった。

子どもの頃は、それが当たり前だと思っていた。

おかしいと気づいたのは、自分が働きながら暮らすようになってからだ。

母がこなしていた家事の量は、とても片手間で回せるものではなかった。

それを母は、文句ひとつ言わずに何年も続けていた。

そんな我が家に、正月になると決まって口を出す人がいた。父の姉にあたるおばだ。親戚が集まる席で、おばはいつも父だけを褒めた。

「男の人なのに、家事を手伝って偉いわねえ」

母へのねぎらいは、ひとこともない。同じように働き、家事の大半を背負う母には、目もくれないのだ。

子どもの頃、私は一度だけおばに尋ねたことがある。

「お母さんのことは褒めないの?」

「女が家のことをするのは当たり前。褒めることじゃないでしょう」

おばは少しも悪びれず、そう言い切った。同じ女性でありながら、母の苦労にはまるで気づいていない。その言葉が、幼い私の胸にずっと残っていた。

正月の食卓で並べた家事の内訳

三十代になったその年の正月も、おばはまた同じ台詞を口にした。

「お父さんは家事もして、偉いわねえ」

私は箸を置いて、まっすぐおばを見た。

「洗濯以外は全部、母の仕事です」

おばの表情が、ぴたりと止まる。

「朝ごはんもお弁当も、掃除も買い物も、ぜんぶ母がやってます。父がするのは、洗濯物を干すことだけ。母も同じだけ働いてるのに、褒められるのはいつも父なんです」

責める口調ではなく、私はただ事実を一つずつ並べた。おばは何か言い返そうとして、口ごもった。

「……知らなかったわ。てっきり、お父さんがよく動く人だと思ってて」

「動いてるのは母ですよ。洗濯を褒めるなら、毎日のごはんも褒めてあげてください」

おばは、それきり黙ってしまった。翌年から、父だけを褒める言葉は、ぴたりとやんだ。

隣にいた母が、そっと私の手を握った。

「よく言ってくれたわね」

その声が、少しだけ震えていた。長いあいだ、誰にも気づいてもらえなかった。そのことを母は口にしなかったけれど、握り返してきた手の力が、全部を語っていた。

その正月から、母は前より軽い顔で笑うようになった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.11(Sun)

「今日だけだから」と言い訳する隣人。うちの駐車場で勝手に水をくんでいた奥さんが、続けて口にした信じられない一言
tend Editorial Team

NEW 2026.10.11(Sun)

「順番なんか知るか、海の見える席にしろ」ホテルの朝食会場で怒鳴った男性。だが、結局中央の席を選んだ理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.10(Sat)

「私ならちょっと無理かも」私が出産した産院を口コミで否定するママ友。最後に本人が選んだ場所に唖然
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.29(Wed)

「またスルーか」既読スルー連発のママ友グループ。だが、魔法の一言を投下したら、手のひら返しで返信が来た
tend Editorial Team

2026.06.17(Wed)

楽天の電撃的な監督交代劇に潜む組織の危うさとは?高木豊氏の指摘とファンの困惑から透ける長期ビジョン不在の代償
tend Editorial Team

2026.10.02(Fri)

「夜にご飯2杯、スナック菓子1袋」40代女性が食生活と散歩を見直した。だが最近、体重が戻り始めた理由
tend管理者