「そこだよ。目の前だよ」駅から数分のホテルが見つからず、何周も歩き回った私が男性の指さす先を見て赤面した理由
駅から数分のはずが、同じ場所をぐるぐる
数年前、20代だった私は、旅行で初めて大都会を訪れました。
予約したホテルは、駅から歩いて数分の場所にあります。電車の中でも何度か携帯電話の地図を確認し、「これなら迷わず行けそう」と安心していました。
ところが、夕方に駅の改札を出ると、目の前には大勢の人が行き交い、高いビルがずらりと並んでいました。
「えっと、こっちかな…」
片手でキャリーケースを引き、もう片方の手で地図を確認しながら歩き始めました。
しかし、地図ではもうホテルの近くまで来ているはずなのに、肝心の入口が見つかりません。
「あれ?さっきもここ通ったよね…?」
角を曲がって歩いていくと、見覚えのある横断歩道に出ました。方向を間違えたのかと思い、別の道を進んでみても、また同じ場所に戻ってきます。
「ホテル、駅から数分のはずなのに」
思わず独り言がこぼれました。
地図を拡大したり縮小したりしても、現在地はホテルのすぐ近くを示しています。
「もう、どこにあるの…」
気づけば同じ道を何周もしていました。キャリーケースを引く腕も疲れ、私は歩道の端で足を止めました。
通りがかりの男性が指さした先には
途方に暮れていると、向こうから歩いてきた60代くらいの男性と目が合いました。
男性は私のキャリーケースと携帯電話をちらりと見て、声をかけてきました。
「どうした、道に迷ったか?」
少しぶっきらぼうな口調でしたが、困っていた私は思わず助けを求めました。
「あ、はい!ホテルを探してるんですけど、どうしても見つからなくて…」
「どこのホテル?」
私がホテルの名前を伝えると、男性はすぐに腕を伸ばしました。
「そこだよ」
「えっ?」
「ほら、そこ。目の前だよ」
男性が指さした先を見て、私は言葉を失いました。
なんと、私が立っている場所の正面に、探していたホテルがあったのです。
ガラスの扉の奥には明るいフロントも見えています。
「ええっ!ここだったんですか!?」
何度も通っていたはずなのに、地図と道順ばかり気にして、目の前の入口にまったく気づいていませんでした。
恥ずかしくて顔が熱くなりました。
「すみません、本当にありがとうございます!」
慌てて頭を下げると、男性は何も言わず、にっと笑って親指を立てました。
そして、そのまま人ごみの中へ歩いていきました。
少しぶっきらぼうだけれど親切で、ドラマに出てくる下町のおじさんのような人でした。
私は照れくささを感じながら、キャリーケースを引いてホテルの入口へ向かいました。
中に入ると、フロントの女性が笑顔で迎えてくれました。
「いらっしゃいませ。迷わず来られましたか?」
「……はい。大丈夫でした」
思わずそう答えてしまった私。
駅から数分のホテルにたどり着くまで、あれほど歩き回ったことは、今でも忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














