「昨日買ったんだから交換しろ!」毛玉だらけの服を持ち込んだ男性。だが、店長が服の状態を確認して告げた一言
昨日買ったはずの服
アパレルショップでアルバイトをしていたころのことです。
夕方の店内は混み合っていて、レジにはお客様の列ができていました。
そんな中、50代くらいの男性がレジの前にやってきました。
「昨日買ったんだけど、これ小さいんだよ。大きいサイズに替えてくれない?」
男性はそう言って、持っていた服をレジ台に放るように置きました。
差し出されたレシートを確認すると、確かに購入日は前日でした。
ところが、服を広げた私は思わず手を止めました。
生地の表面には毛玉がびっしりとつき、袖口も伸びて波打っています。
昨日購入したばかりとは思えないほど、使用感のある状態だったのです。
「申し訳ありません。着用やお洗濯をされた商品のサイズ交換は、お受けできない決まりでして…」
すると、男性は不満そうに顔をしかめました。
「はあ?洗ったら縮んだんだぞ!そんな服を売っておいて、交換できないってどういうことだよ!」
「申し訳ございません。ただ、当店の規定では…」
「だから、その規定がおかしいって言ってるんだよ!」
男性の声は次第に大きくなり、後ろに並んでいたお客様もこちらを見始めました。
私は何度も説明しましたが、男性は納得してくれません。
「こっちは昨日買ったばかりなんだぞ。何とかしろよ!」
やり取りが続くうちに20分以上が経ち、レジの列は入口のほうまで延びていました。
困り果てていると、男性がとうとう声を張り上げました。
「教育がなってない、責任者を呼べ!」
あまりの剣幕に、私はどう返事をすればいいのか分からなくなっていました。
店長が伝えた「ご愛用」の意味
そこへ、バックヤードから店長が出てきました。
店長は私の隣に立つと、男性に丁寧に頭を下げました。
「当店の商品をご愛用いただき、ありがとうございます」
「ああ、あんたが責任者か。この店員じゃ話にならないんだよ」
男性は少しほっとしたような表情で、店長に服を差し出しました。
店長は服を受け取ると、内側のタグを確認しました。
「こちらの素材は、乾燥機にかけると縮むことがあるんです。乾燥機はお使いになりましたか?」
「……そんなの、知らないよ」
先ほどまでの勢いが、少し弱まったように感じました。
店長は服を広げ、表面の毛玉と袖口の状態を確かめました。
「そうですか。ただ、こちらをご覧ください。毛玉がかなり出ていますし、袖口も伸びていますね」
「……だから、何なんだよ」
「かなりご愛用いただいたような状態ですので……。お洗濯もされているとのことですし、申し訳ありませんが、サイズ交換はお受けできないんです」
店長は最後まで落ち着いた口調でした。
男性は前日に購入したと主張していましたが、服にははっきりと使用感があります。
店長はその状態を確認したうえで、交換できない理由を説明したのです。
後ろの列から、小さく笑う声が聞こえました。
男性は周囲をちらりと見て、顔を赤くしました。
「……もういいよ」
それだけ言うと、男性は服をつかみ、足早に店を出ていきました。
店長は私の肩に軽く手を置きました。
「大丈夫だった?もう気にしなくていいからね」
「はい……ありがとうございます」
緊張していた私は、ようやく肩の力が抜けました。
店長はうなずくと、いつもの落ち着いた声で「次のお客様、どうぞ」と案内しました。
止まっていたレジの列も、少しずつ動き始めました。
大声で怒鳴られた怖さは、すぐには消えませんでした。
それでも、相手の勢いに押されることなく、商品の状態を確認して丁寧に説明した店長の対応は、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














