「だから、置く場所がないんだって」新幹線の指定席を荷物でふさいだ男性。だが、車掌が落ち着いて伝えた言葉
荷物でふさがれた2つの指定席
ゴールデンウィークに、妻と子どもと新幹線で旅行をしていたときのことです。
指定席の車両は満席で、通路やデッキに立っている人もいました。
私の席から通路をはさんだ向こうには、3人掛けの座席がありました。
窓側には50代くらいの男性が座り、残る2席には大きなスーツケースとゴルフバッグが置かれていました。
荷物が多くて大変なのだろうと思いましたが、満席の車内で2席も使っていることが気になりました。
途中の駅で、30代くらいの女性2人が乗ってきました。2人はその座席の前で立ち止まり、手元の指定席券と荷物を見比べています。
「あの、すみません。ここ、私たちの席なんですけど……荷物を移していただけますか?」
女性のひとりが声をかけると、男性は面倒そうに答えました。
「棚がいっぱいなんだから、しょうがないだろ」
確かに、頭上の荷物棚には空きが見当たりません。
それでも、女性たちには指定された席に座る権利があります。
「あの…足元に置くのは難しいですか?」
女性が遠慮がちに尋ねると、男性は急に声を荒らげました。
「足元になんか置けないだろ。見たら分かるだろ」
その声に、周囲の乗客も男性のほうを見ました。
女性たちは困った顔で立ち尽くしています。隣にいた子どもも驚いたようで、私の袖をそっとつかみました。
荷物を置く場所がない事情は分かります。しかし、だからといって他人の指定席を使っていいわけではありません。
車掌が確認した乗車券
そこへ、40代くらいの車掌さんが通路を歩いてきました。
女性たちが事情を説明すると、車掌さんは男性に声をかけました。
「失礼します。乗車券を確認させていただけますか?」
「なんで俺が見せなきゃいけないんだよ」
「お席の確認をしたいので、お願いします」
男性は不満そうな顔をしながらも、乗車券を差し出しました。
確認すると、男性が指定していたのは窓側の1席だけでした。
車掌さんは落ち着いた口調で伝えました。
「こちらの2席は、このお客様方の指定席です。お荷物を移していただけますか」
「だから、置く場所がないんだって」
男性は再び頭上の棚を見上げました。
すると車掌さんは、少しも声を荒らげずに続けました。
「大きなお荷物の置き場所はこちらでも確認します。ただ、ほかのお客様の座席には置けませんので、まずは席を空けていただけますか」
男性は何か言いかけましたが、結局、荷物に手を伸ばしました。
スーツケースとゴルフバッグを持って立ち上がると、車掌さんと一緒に通路の先へ移動していきました。
その様子を見ていた女性たちは、ようやく自分たちの席に座ることができました。
「ありがとうございます。本当に助かりました」
女性のひとりが車掌さんに頭を下げると、車掌さんも軽く会釈しました。
しばらくして男性は窓側の席へ戻ってきましたが、女性たちと目を合わせることはありませんでした。
その後も男性は黙って座っていました。少なくとも、私が見ていた範囲では、女性たちに謝る様子はありませんでした。
大きな荷物を持って混雑した新幹線に乗るのは、確かに大変なことだと思います。
それでも、困っているからといって、ほかの人の席を使っていい理由にはなりません。
感情的になった男性に対しても、落ち着いて対応し、きちんと指定席を空けてもらった車掌さんの姿が、今も印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














