「3000円だけ、包ませてもらったの」ずっと妻を馬鹿にしてきた叔母。結婚式で妻が義母にお礼を言ったワケ
祝儀袋を開けた夜
結婚式から数日後、私と妻は、いただいたご祝儀の袋を二人で開けていました。お礼状を書くために、どなたからいくらいただいたか、一つずつ確かめる作業です。
その中に、一枚だけ薄い袋がありました。妻の父方の叔母からのものです。中を確かめると、3000円が入っていました。
「やっぱり、この額なんだ」
妻がぽつりと言いました。式当日の見送りで叔母が口にした言葉を、私はそのとき思い出していました。
「3000円だけ、包ませてもらったの」
あのとき叔母は、袋を私に手渡しながら、そう言ったのです。声には、どこか強がりのような響きがありました。
見栄の裏にあったもの
妻の話では、叔母は昔から妻に厳しく、何かにつけて馬鹿にするような人だったそうです。
叔母は若い頃、農場を営む家に嫁ぎました。その頃はいい家に行ったと親戚に喜ばれ、叔母自身もそれをよりどころにしていたのだと思います。けれど、いまはその商いも楽ではないと聞いていました。
「昔は、集まりのたびに景気のいい話をしてたんだって」
妻はそう言って、少し困ったように笑いました。見下していたはずの姪が落ち着いた家に嫁ぐのを見て、自分の立場が揺らぐように感じたのかもしれません。3000円という額は、意地でもあり、あの人なりの精一杯でもあったのだと思います。
それでも、恨む気持ちにはなれませんでした。強がっていないと立っていられない人なのだと、あの薄い袋が教えてくれた気がしたからです。
妻の背中が答えだった
思い返せば、見送りの列でも、妻はまったく動じていませんでした。
「叔母さん、来てくれてありがとう」
妻は叔母をまっすぐ見て、そう頭を下げました。
とげのある一言を、まるで受け取っていないような、落ち着いた声でした。
叔母は何か言いかけて、けれど続けられずに目を伏せました。姪のその静けさが、どんな言い返しよりも強かったのだと思います。
「気にしてないの?」
袋を閉じながら私が聞くと、妻は首を横に振りました。
「あの人はあの人で、必死だったんだよ。私は、今が幸せだからいい」
その一言で、胸につかえていたものが軽くなりました。3000円の袋も、ほかの袋と同じ引き出しに、そっとしまいました。金額の大小で、この日が色あせることはありません。むしろあの薄い袋のおかげで、妻という人の芯の強さを、はっきりと知ることができました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














